北の非核化問題で外交力失う韓国
希望論に安住、共感得られず
第2回朝米首脳会談のための高位級会談が差し迫ってきた。会合自体に意味があり、原則と方向の確認に終わった第1回会談の時とは全く違う雰囲気だ。北朝鮮の非核化と制裁緩和の本論を扱わなければならない“真剣勝負”の緊張感が感じられる。
北核問題は膠着(こうちゃく)と進展の岐路に立っているが、韓国の“運転者の役割”は周辺4強(日米中露)に対する外交力を失い“外交空白”を招いた。一方、北朝鮮は金正恩朝鮮労働党委員長の新年の辞で不如意ならば“新しい道”を選択し得ると述べて背水の陣を敷き、第4回訪中で朝中関係の絆の強さを演出した。
ポンペオ米国務長官は11日、メディアとのインタビューで「米国民の安全が究極的目標」と述べて、「最終的で完全に検証された非核化」(FFVD)としていた朝米会談の焦点をぼやかした。安倍晋三日本首相も北へ拉致された日本人問題解決のための朝日首脳会談を暗中模索しているという。北核問題の膠着局面で北朝鮮と周辺各国は“各自図生”(各自が生き残る方法を探る)の道に入っているわけだ。
昨年の平昌五輪以後、6月の朝米首脳会談までの一連の過程で、韓米は効率的に役割を分担した。韓国は4月と9月の南北首脳会談で事実上の南北終戦と平和協力の雰囲気によって冷戦を氷解させた。一方、米国は北朝鮮の執拗(しつよう)な核保有国の地位を確保しようとする意図に対して制裁の手綱を緩めず、検証可能な非核化措置を取るよう圧迫した。硬軟両面の戦略的分業だったと言える。
問題はその後の膠着局面で露呈した。韓国は北核に対する希望の論理に安住した。北への好意が好意を呼び、終戦宣言が北朝鮮を安心させて非核化を推進するだろうというのは余りにも楽観的だ。これは国際規範と共感を基盤とした効率的な外交論理とは距離がある。
明確な事実は核危機の原因を生んだのは北朝鮮であり、いまだに自発的に核を放棄する考えがないという点だ。核拡散禁止条約(NPT)と北核不容認原則は国際規範であり、中露も参加する国連安保理決議は(北核をめぐる過去26年間の)試行錯誤を繰り返さないという国際社会の共感があったからこそ可能だった。
北朝鮮は昨年6月以後、実質的な非核化の措置を行わずに制裁解除をしつこく要求し、絶えず南北協力を強調する。米国は韓国の対北政策の基調が制裁の実効性を低減させるのではないかと心配してきた。北非核化の希望と楽観の一方的な伝播(でんぱ)だけでは経験的に蓄積された国際社会の対北不信を克服することは難しい。韓国の外交が国際社会の支持と協力を得ることに無気力ならば、周辺国は北核の膠着局面を自己の利益追求空間として活用するだろう。
国際規範と共感に基盤を置いた北核外交で国際社会の信頼と支持を得てこそ、韓国の“運転者の役割”が現実性を持ちうるのだ。
(呉承烈(オスンニョル)韓国外国語大教授、1月18日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。