韓米の信頼と協議が必要な南北経済協力
性急な推進は韓国に打撃も
文在寅政府は南北経済協力を韓半島平和のための核心的なテコと見ている。非核化交渉が進まない中でも、南北間鉄道・道路の連結着工式を年内に行い、金剛山観光と開城工業団地の再開も推進するものとみられる。北朝鮮にスマートシティーを建設するプロジェクトまで議論されている。
その半面、ポンペオ米国務長官は、「(韓米が)相手方と相談なしに単独行動をしないように」と韓国側に警告を発した。
筆者は2002年、南北通信分野の交渉等で、最近のスマートシティーのような概念の「平壌サイエンスパーク」建設などを協議したことがある。同プロジェクトは結局、失敗に終わった。
幾つか理由があるが、核心的な原因は米国の戦略物資および技術に対する統制政策のためだった。根本的には金大中・盧武鉉政府の対北政策に対するブッシュ米政府の不信とこれに伴う政策調整の失敗があった。
米国の05年「セカンダリーボイコット」(北朝鮮と正常な取引をする第3者に対する制裁)によって米財務省が凍結した北朝鮮資金は07年の朝米2・13合意に伴って北朝鮮に送金することになったが、当初協力する予定だった中国と中国銀行が協力を拒否したため、ロシアの銀行を経て送金を行った。中国が拒否した理由はセカンダリーボイコットへの怖れだったのだ。
ところが韓国政府はこのような事情を無視した安易な状況認識をしている。これから進められる性急な南北経済協力は、場合によっては韓国経済、企業、金融機関に甚大な打撃を与えることになる。韓米間に信頼と協議のない南北経済協力は成功できない。特に、現在のように非核化交渉や対北制裁と絡み合っている条件の下で、性急な南北経済協力を推進すれば、制裁と関連した“飛び火”によって深刻な打撃を被る恐れがある。
さらに、米国が南北経済協力に対して、韓国の親北勢力が北朝鮮に“むやみに与える”手段ではないかとの疑いを持っていれば、成功は望めない。南北経済協力を通して北朝鮮に市場経済を広め、改革開放を誘導することができる戦略を米韓が共有するとともに、韓国の安保戦略をしっかり立てて、自由民主主義と市場経済の価値を明確にすることを併行させなければならない。
このような原則に基づいて、南北経済協力を推進するなら、米政府も国際社会も支持するだろう。国内的にも安保に対する不安、自由民主主義の価値の毀損(きそん)に対する疑念を持つ多くの国民も支持を送るだろう。
南北経済協力を30%前後にすぎない自分たちの党派的な基盤だけを考慮した政策として、韓米同盟の原則、安保の基礎、自由民主主義と市場経済の価値を傷つけながら推進するならば、深刻な問題を引き起こす。今こそ、党派的利害を超えた国の未来を考えなければならない時だ。
(具海祐(クヘウ)未来戦略研究員理事長、11月23日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。