知日派総理の秘書室長に対日強硬派


問題解決の「着地点は不透明」

 金大中・小渕恵三パートナーシップ共同宣言20周年を迎え、新しい転機の年となり得るとの期待とは異なり、韓日関係が悪化している。日帝強制占領(日本植民地)期間の強制徴用に関する大法院(最高裁)判決と(慰安婦合意に基づく)和解治癒財団の解散問題など、韓日関係を揺るがしかねない新たな問題として登場した対立案件のためで、文在寅政府の対日ツートラック戦略が試されている。

李洛淵首相(左)と安倍晋三首相

ロシア極東ウラジオストクで開かれた「東方経済フォーラム」の全体会合に出席した韓国の李洛淵首相(左)と安倍晋三首相=9月12日(AFP時事)

 大統領府の高位関係者は7日、「政府の立場を整理するのに多少時間がかかるだろう」とし、「日本政府が過度に韓国政府を批判するのは事態の解決に役立たない」と指摘、さらに「(韓日首脳会談は)今の雰囲気では難しいようだ」と伝えた。

 李洛淵(イナギョン)国務総理は同日、記者団に配布した説明文で、日本政府指導者たちの発言は「妥当(な発言)でもなく、賢明でもない」と深い憂慮を示した上で、「大韓民国大法院の判決は1965年の韓日基本条約を否定したものでなく、同条約を認めながら、その土台の上で条約の適用範囲がどこまでかを判断したこと」だと表明した。

 日本政府は韓日基本条約を「韓日関係の根幹」と強調し、大法院判決は韓日関係の根幹を揺るがす決定だとの論理を展開している。

 先月30日に大法院の判決が下りた後、日本政府の度が過ぎた批判や妄言が1週間続いても韓国政府は即座に対応しなかった。8日後になって、このような対応を出したことについて、一部では李総理が鄭雲鉉(チョンウンヒョン)秘書室長を任命した直後だという時期に注目している。

 大法院判決を契機に政府の対日対応の重心が外交部から総理室に移動しており、この総理の説明文は今後、総理室で対日関係の核心懸案を直接コントロールするという信号弾と解釈される。

 韓日議員連盟の首席副会長を務めた李総理は知日派として知られている。李総理は鄭室長を迎え、「自分に足りない歴史意識と気概を補ってほしい」と語ったことを明らかにしたことがある。鄭室長は親日派の歴史を告発してきた新聞記者(ソウル新聞、オーマイニュース)として有名だ。近現代史の著書を多数出し、2005年から3年間、親日反民族行為真相究明委員会の事務處長を務めた。

 鄭室長は自身のフェイスブックに、「来年の3・1革命100周年を控えて、私と総理との出会いをこのように(日本を念頭に置いたものと)解釈する見解もあると思うと改めて責任の重さを感じる」と書いている。

 日本側の警戒心も感知される。日本経済新聞は「李総理は知日派と言われているが、どんな(“強制徴用”問題解決の)着地点を探しているのか不透明だ」として、「秘書室長に日本に厳格な立場を取る人物を任命した」と伝えている。

(金イェジン・朴ソンジュン記者、東京=金青中特派員、11月8日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。