韓国外交が抱える「康京和リスク」
北核問題で米と足並みの乱れ
外交とは何か。最近、しばしば考えさせられる疑問だ。外交とは国家間の関係を処理することをいう。対外政策を樹立し、施行することだ。そうだとすれば、外交をどう行わなければならないか。外交は国内外の政治状況と密接に関連しているので、外交官には政治的な感覚と情勢判断能力がなくてはならない。国益を守らなければならないので歴史認識と洞察力も持たなければならない。外交の懸案は非常に敏感なものなので、口が堅くなければならない。公式の席での外交官の言葉が地味なのは、節制されたメッセージを込めるからだ。
韓国の外交は果たしてそうだろうか。外交部の的外れの空振りが続いており、「康京和(カンギョンファ)リスク」という言葉まで出回っている。北朝鮮が制裁解除を要求している状況の下で開かれた国会の国政監査で、康京和外交部長官は5・24措置(2010年の哨戒艦「天安」撃沈事件を受けて、人道的支援を除いた南北間の交流や協力を全面的に中断した措置)の解除について、「関係部處と検討中だ」と答えた。これに野党議員が反論すると、「関係部處が検討中」「全政府レベルで議論しているのではない」と言い直した。
波紋は米国にまで広まった。トランプ大統領は「彼らはわれわれの承認なく何事もしないはずだ」と過ぎた言葉を使った。康長官は、南北が締結した軍事分野合意書の事前調整について、ポンペオ米国務長官が電話で強い不満を表した事実を公開された場で認めざるを得なかった。
米国の朝野では、「対北制裁の緩和はダムに穴をあけること」だと憂慮する。韓米間の足並みの乱れが目立つ。これでは北朝鮮に誤った信号を送ってしまうことになる。
それでも政府は問題の深刻さを悟ることができないようだ。『朝鮮王朝実録』を見ると、滅びゆく明と新興強国の後金の間で綱渡り外交をした光海君(クァンヘグン)が官僚らを叱責する場面が出てくる。
「中原(中華中央)の形勢が実に危険だから、このような時には内では自強を図り、外では牽制(けんせい)する計略を使って、ひたすら高麗がしたようにしなければ国を保全できない。ところで、最近わが国の人心を見れば、内では事を分別できないのに、外で大言ばかり吐く…」と述べた後に、「わが国の人間はホラのためについに国を亡ぼすだろう」と嘆いた。
韓国政府の外交を省みれば、400年前の光海君の現実認識よりましなことがあるのか疑問を感じる。わが国の外交は北朝鮮の核問題への対処に対する憂慮と懐疑を増幅させているのが現実だ。
再び訊(たず)ねる。われわれにとって外交とは果たして何なのか。外交官たちは今何をしているのか。
(朴完奎(パクワンギュ)首席論説委員、10月19日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。