首脳会談後の北が進むべき道


韓国紙セゲイルボ

「完全な非核化」実行を急げ

 2000年10月、趙明禄(チョミョンノク)国防委員会第1副委員長が金正日(キムジョンイル)総書記の特使として米国を電撃訪問し、クリントン大統領(当時)に平壌への招待状を手渡した。

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ポンペオ米国務長官(左)と韓国の康京和外相=14日、ソウル(EPA時事)

 米ジャーナリストのドン・オーバードーファーは著書『二つのコリア』で当時、北朝鮮は米大統領の訪朝を最も重要な課題と感じていたと述べている。「北朝鮮にとって米大統領の訪朝は“不良国家”という不名誉を解消すると同時に、合法的な主権国家であることを全世界的に認めてもらう好機だった」ということだ。11月の大統領選で共和党のブッシュ氏が当選し、クリントン氏の訪朝は消えたが。

 18年を経て金正日総書記の息子金正恩(キムジョンウン)党委員長が中国高官の専用機まで借りてシンガポールに行き、ドナルド・トランプ米大統領に会った。先代の念願を成し遂げた米朝会談は北朝鮮が正常国家に変身しようとすることを全世界に知らせた事件だ。ある日突然に実現したものではない。徹底的に準備した跡が歴然だった。

 首脳会談の冒頭で金正恩委員長は、「われわれには足を引っ張る過去があり、また、誤った偏見と慣行がわれわれの目と耳を塞(ふさ)いでいたが、われわれは全てのことに打ち勝ってこの場にまでやって来た」と述べたのも、閉鎖と孤立の過去と決別するという意味と読むことができる。

 金委員長は今年に入って、経済回復に格別の関心を表している。配給体制が崩れて、自由市場が急増する状況で、住民統制は限界に直面しているためだ。4月の党中央委第7期第3次総会では、「全人民が他国より豊かで文明化された生活を送れるようにする」と公言した。先月中国を訪問して、習近平中国国家主席と会談した時は経済改革・開放に取り組むという意思を伝えたという。

 国際外交舞台に百回立つより、経済を再生することの方が正常な国家になる近道だ。その意思が確かならば進むべき道は明らかだ。

 お粗末なシンガポール共同声明の穴を埋めるための、朝米フォローアップ交渉が予告されているが、北朝鮮はこの場で神経戦を行っている場合ではない。南北首脳会談と朝米首脳会談で確認した「完全な非核化」意思を実行に移す措置を急ぎ、国際社会の信頼を得ることが重要だ。それでこそ経済支援や投資を呼び込むことができる。

 北朝鮮は非核化の意思をシンガポール共同声明の熱気が冷める前に国際社会に確認させる措置を取らなければならない。

(朴完奎(パクワンギュ)首席論説委員、6月15日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。