度を越した“南北共同路線”
北の政治宣伝・扇動の場に
北朝鮮の平昌冬季オリンピック参加宣言以後、文在寅政府の“平和もの乞い”が度を越している。まず、正体不明な朝鮮半島旗で南北共同入場というのは、主催国がその国旗を掲げられないという事態を招いた。正統性の毀損(きそん)という話まで出てくる。
女子アイスホッケーの無理な単一チーム化も、北朝鮮の“民族共助”扇動に迎合した揚げ句のスポーツ専門性と効率性を無視した自滅である。文大統領が選手団に「歴史的名場面」になるだろうと慰めたが、これは大統領がそう思っているだけのことだ。
金正恩政権と結託したのも不適切なのに、政治的興行のために韓国選手たちの五輪参加権利を剥奪する逆差別まで行うのは極めて不当である。政治がスポーツに介入するという危険な先例となる。
金剛山で南北前夜祭を開くのも納得しがたい。国連制裁の無力化と、外貨稼ぎの金剛山観光事業を再開するための事前措置ではないのか、との疑問を呼び起こす。
また五輪に出場もしない韓国選手が北の金正恩業績の象徴である馬息嶺スキー場まで行って訓練をするというのは、何とも奇怪なことだ。特に北朝鮮は選手がせいぜい10人にすぎないのに、370人もの芸術団と応援団を送るという。五輪を国際制裁免除のための宣伝・扇動の舞台として活用しようとの陰謀が見え見えだ。
より一層衝撃的なことは、反国家団体である在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の応援団活動も保障するという南北間合意だ。対南浸透スパイおよびテロ基地の役割をしてきた利敵団体を堂々と五輪に引き込むことはできない。
一連の南北接触で韓国が「北朝鮮非核化」のためにどんな努力をしたのか疑問だ。10日の会見で文大統領は、「北朝鮮の非核化が南北対話の目標にならなければならない」と強調した。言葉と行動が一致しなければ、国民と国際社会から非難されるだろう。
米国は韓国主導の南北対話に原則的な支持を表明しているが、外交的解決が失敗する場合に備えて、軍事攻撃準備を完了している。グアムに3大戦略爆撃機が集結し、ベリー下院軍事委員長は米軍が“重大な訓練”をしていることを証言した。マティス国防長官はバンクーバー20カ国外相会議で「戦争計画」があることを明らかにした。
韓国は五輪を舞台に「核保有を前提とした平和」を既定事実化しようとする北朝鮮の策謀に乗せられてはならない。過度な南北共助で混乱に陥った国民はいま質(ただ)している。なぜ文在寅政府は敵と同志を区分できず、国家安保を危険にさらすのかと。
(洪官憙(ホングァンヒ)高麗大教授、1月20日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。