現実に目を逸らし続けた1年 英のEU離脱、トランプ現象
2016年も残りわずか、国際部記者として記憶に残ることを思い出してみた。
英国民が欧州連合(EU)離脱を選択するとは予想できなかった。6月23日の投票直前までも「英のEU離脱は現実化するか」という周辺の問いに、「絶対そうするわけがない」と答えていた。
国際部記者特有の「○○によれば」を乱発し、外信分析であることを明確にして、説得力を高めた。だがそれは虚像だった。英EU離脱で欧州が不安になれば、その余波がアジアに及び、韓国にも悪影響を及ぼすという漠然とした不安感が「離脱はない」という記事とコラムを書かせた理由だろう。
もう少し冷徹に分析した後に出した結論が現実と違っていたとすれば、それはそれで仕方ないだろうが、残念なことに、あえて目を逸らして外した予測の方がはるかに多かった。
ドナルド・トランプが米国大統領になるという予測も、かなり以前から捨てていたことは認めざるをえない。既存の政策に代案はなく、批判だけが賑(にぎ)やかで、視聴率を気にするだけの旧態の有名人だと思っていた。
投票直前にトランプが選挙結果に従わないと示唆すると、米マスコミは「負けることが明らかな戦いになぜ出たのか」と皮肉った。これに120%同調した。
11月8日の投票でトランプは多くの人の期待を裏切って明るく笑った。「マダム・プレジデント時代幕開け」という紙面企画書もゴミ箱に捨てられた。
国際部が世界の未来を全部占うことはできない。他国のことである上に、その国のメディア予測や報道内容を取捨選択するのが主要業務であるためだと弁解してみる。
歳末に思い返した世界は想像するのが難しいことでいっぱいだった。来年はさらに険しくなるだろう。トランプ氏は中国を捨ててロシアに接近するのかと思えば、数日後にロシアとの“核競争”を予告した。世界の中心を自任する米国の政策が“ラクビーボール”のように変われば、米国依存度が高い韓国はさらに紛らわしくならざるをえない。
酒席でこういった心配をすると、友人は「トランプはそれでも自分の考え通りに発言し行動している。韓国ほど状況の良くない国がどこにあるのか」と応酬した。
崔順実(チェスンシル)国政壟断事態で、新しい事実を明らかにして孤軍奮闘する同僚・先後輩記者らに拍手と応援を送る。
(チョン・ジェヨン国際部次長、12月27日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。