韓国“脱神話化”の結末は?
風前の灯火の自由民主体制
朴槿恵(パククネ)大統領の弾劾案が国会で可決されると、ある野党議員は、「これで朴正煕(パクチョンヒ)時代は終わった」と言った。つまり、朴大統領弾劾は(朴正煕による)産業化神話をすっかり消す清算作業の一環として進められたという意味だ。韓国内の対立をすさまじいまでに表した真実だ。
北朝鮮で金正恩(キムジョンウン)体制が3代世襲に成功したのに対して、韓国の自由民主主義体制は風前の灯火(ともしび)である。崔順実(チェスンシル)追及を「民衆革命」といい、与野党議員は憲法破壊発言を憚(はばか)らない。世界的企業の財閥総師が国会聴聞会で雁(がん)首揃(そろ)えている姿を外国メディアは嘲弄(ちょうろう)した。これが所得2万7000㌦の大韓民国の品格だ。100年前の旧韓末に近代化を控えて党派争いに明け暮れていた時と同じだ。
大韓民国のアイデンティティーは産業化勢力と民主化勢力の葛藤とその隙間に食い込んだ左派・従北勢力によって、ひどくひび割れている。
朴槿恵以後がさらに心配であることは大統領の椅子を目指す者が全員、国家生産力の向上と産業化には門外漢であり、第4次産業化では最初から考えさえない人物らに映るためだ。「国会独裁」と「帝王的大統領」で対抗している今日の破綻政局は簡単に安定しそうにない。わが民族はなぜ合理的な歴史発展に遅れるのであろうか。いまの姿は金と欲望と集団文化の奴隷だ。
現代国家はさまざまな神話で構成されている。南北の姿を見れば北朝鮮は金日成(キムイルソン)王朝の神話化に成功し、檀君神話まで抱え込んでいるのに対して、韓国は大韓民国建国と産業化の神話化に失敗している。その大きな理由は主体的な歴史意識の不足と妨害勢力によって歴史整理ができなかったためだ。
よく神話と正統性は「本来こうあるべき」という形で作られる。正統性の確立は民主主義とも関係がない。歴史は神話化と脱神話化の戦争だ。逆説的に脱神話化のイデオロギーであるマルキシズムを信奉する北朝鮮は神話化に成功しながら、韓国は多くの神話的資産がありながら、脱神話化されてしまった。早く弾劾をめぐる言葉の自己陶酔と集団催眠から抜け出して、日常に戻らなければならない。
国民は国家を尊重し、国家は国民を正しく経世済民する国家になればと願う。弾劾政局が収まれば、来年には一気に大統領選挙政局になり、与野党が政権争奪のために党派争いで消耗することが心配だ。
(朴正鎭(パクジョンジン)文化評論家、12月20日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。