“神の贈り物”半導体
1995年は歴史的な年だ。輸出が1000億㌦を突破。数十年間叫び続けた“輸出立国”の達成を物語る数値だった。ギリシャ神話に出てくるヘスティアの炉のように「輸出の火は消えない」という確信を持った時だった。自信が満ち溢(あふ)れていた。翌年、経済協力開発機構(OECD)に加入した。「シャンペンのフタをあまりにも早く開けすぎたのではないか」という批判も出たが、歴史に自分の名前3文字を残したい大統領の耳に聞こえるはずがない。金融為替危機はその翌年に勃発した。安分知足(日本では、知足安分=足りることを知り分に安んずること)。よくよく考えさせられる言葉だ。
21年前の好景気はどこから始まったのか。米国の好景気、市場開放の嵐、深まる円高。世界市場には蜜が流れたが、誰もが蜜を取って食べられたのだろうか。敗者は食べられない。
その時、登場した産業が他ならぬ半導体だ。サムスン電子はその年、純益1兆ウォンを突破した。国内企業としては初めてだ。「半導体メモリーの容量は毎年2倍に増える」というファン(黄昌圭(ファンチャンギュ)氏氏=後の同社技術総括社長、現KT会長=の姓)の法則は、この頃登場した。Dラム半導体の強者の地位は、ただで得られたのではない。1968年、安養ゴルフ場でサムスンの李秉喆会長はこんなことを言ったという。「我々も電子産業をやろうと思う」。しかし、半導体産業を興したのは息子の李健熙(イゴンヒ)会長の時だ。肩越しに日本に学びながら、ありとあらゆる屈辱を受けたという。
「半導体が活性化すれば国家経済が活性化し、半導体がダメになれば国家経済も委縮する」。無限の価格競争が起こっている半導体市場なので、景気の振れ幅が大きく、敗者は滅びる。半導体研究所の明かりが24時間ずっと消えないのはそのためだ。
崔順実容疑者の国政介入疑惑事件で船頭のいない船となってしまった国家経済は、至る所に赤信号が点滅しているが、朗報が一つある。「半導体の好景気が始まっている」のだそうだ。価格競争で倒れるべきところは皆倒れてしまったということだ。生き残った者は食膳にありつける。わが国の半導体の輸出額は昨年629億1600万㌦。輸出全体の11・9%を占めるトップ品目だった。
危機のたびに救援投手として登場する半導体は“神の贈り物”だろうか。1997年に外貨準備高が底をついた時、10億㌦がなかなか借りられなかったわが国政府の保証をしたサムスンの力も半導体の好景気を背景としていた。半導体の機関車は再び走るだろうか。それがヘスティアの炉であることを誰もが願っているはずだ。
(12月19日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。