表情明るい北の新世代選手たち


韓国紙セゲイルボ

 1991年4月、史上初の南北単一チームが編み出した“千葉神話”の感動はまだ生き生きとしている。南北単一卓球チームは世界卓球選手権千葉大会で9連敗を狙った中国の壁を越えて団体戦優勝を果たした。

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ブラジル・リオデジャネイロに出発前、空港で同国政府代表と握手を交わす北朝鮮の崔竜海朝鮮労働党副委員長(右から3人目)=7月30日、平壌(AFP=時事)

 当時の感動を描いた2012年映画『コリア』で、主人公は南側のヒョン・ジョンファ選手と北側のリ・ブンヒ選手だった。リ・ブンヒは競技の間ずっと無表情だった。競技に勝った時も、なかなか感情を表さなかったという。一時、国際大会に出場した北朝鮮選手たちは約束でもしたかのように、リ・ブンヒのように無表情で無愛想だった。

 北朝鮮社会で新世代の流れが現れている。社会が発展して経済的に豊かになったからではない。逆説的だが、1990年代中・後半の深刻な経済難が北朝鮮の新世代を産んだ。配給体制が崩れた苦難の時期を体験しながら、思想学習教育が緩くなった結果だ。

 “市場世代”とも呼ばれる彼らは既存世代とは明確に違う。組織に対する忠誠度が低く韓国映像物に対する拒否感も弱い。二重まぶたやえくぼ手術(整形手術)が普通になっている。互いを呼び合う「同志」や「同務」のような硬い表現もあまり使わない。

 姜東完(カンドンワン)東亜大教授は2013年月刊「北朝鮮」への寄稿で、「北朝鮮の新世代が統一を早める呼び水になるだろう」と予想した。市場世代を中心に社会的不満が間接的に表現されており、韓流の拡散で政治的変動が促進されるということだ。

 北朝鮮内部事情はよく分からないが、若者たちの表情が変わったのは明らかに見える。先月31日、リオデジャネイロ五輪選手村に入村した北朝鮮選手団の新世代選手たちがそうだ。過去には硬直した態度で外国選手、特に韓国選手との接触を極度に敬遠した北側選手が今は親しく反応するという。

 北朝鮮の重量挙げ選手団のリム・ジョンシムとキム・クッキョンが訓練を終えてバスを待ちながら、明るく笑う姿には無邪気さが感じられた。射撃訓練途中、韓国選手と北朝鮮選手がパンを分け合って食べる姿もとても自然だ。リオ五輪では南北選手とも、これまで磨き上げた技量を思う存分発揮することを期待する。そして晴れやかな笑顔で帰国の途につくことを…。

(朴ヒジュン論説委員、8月4日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。