【韓国紙】中国の五輪“韓服工程”は文政権の低姿勢が原因


韓国紙セゲイルボ「社説」

北京五輪開会式に登場したチマチョゴリを着た朝鮮族(韓国紙より)

 中国の北京冬季五輪開幕式で時ならぬ“韓服工程”論議が起きている。56の少数民族代表が中国国旗「五星紅旗」を伝達したが、その中に白いチョゴリ(上着)とピンクのチマ(スカート)を着た朝鮮族の女性が登場した。メインスタジアム内の大型モニターには伝統芸能のサンモ回し(帽子につけた紐を回す)とチャンゴチュム(長鼓舞)の映像が映された。いいかげんに済ませることではない。韓服は高句麗の古墳壁画と新羅、百済の遺物でも確認できるのに、中国は韓服が明代の着衣だというあきれた主張をしてきた。中国がキムチと参鶏湯に続き、韓服まで自身のものだと言い張る“文化工程”に出たのかと疑うほかはない。

 中国の文化侵奪・歴史歪曲(わいきょく)は昨日や今日のことではない。中国官営メディアでさえ中国の塩漬け野菜の「包菜」がキムチの元祖であり、参鶏湯の元祖も広東式の薬膳だと主張する。さらに「カッ」(笠子帽)やアリラン(民謡)、太極旗(国旗)まで自分たちのものだというからあきれ果てる。中国政府は2002年から「東北工程」という名で渤海と高句麗の歴史を自国の歴史の一部に編入する歪曲作業を始めていた。習近平主席は5年前にも「韓国は中国の一部であった」として、東北アジアの歴史を否定する妄言を吐いた。

 文在寅政権の対中低姿勢が災いを育てているとの批判を免れることはできない。開幕式に参加した黄熙文化体育観光部長官(閣僚)が「争って何の実益があるか」と言ったというから、閉口する。朴炳錫国会議長が中国の国会に当たる全国人民代表大会の栗戦書常務委員長から「関係部署に韓国の立場を伝達する」という趣旨の返事を聞いただけだ。昨年、北京冬季五輪の広報ビデオにも韓服とサンモ回しが登場したが、政府は何の対応も取らなかった。外交部(外務省に相当)は「韓服はわれわれの代表文化であり、(韓中間で)互いに固有文化は尊重されなければならない」という原則論だけを繰り返した。これだから中国が韓国を見くびるのではないか。

 今回の五輪は半分大会として行われている。米国など国際社会が中国の人権侵害を問題にして政府使節団を派遣しない“外交的ボイコット”をしている。これに中国は今年10月、習近平国家主席の3期目を控えて、五輪を政治宣伝の場とするために覇権外交を露骨化している。韓服工程もこれと無関係ではないだろう。中国は世界の中心が自分だという“中華主義”の傲慢(ごうまん)から抜け出さない限り、国際社会において21世紀の先進大国としての待遇は難しい。隣国を傷つけたならば、釈明して謝るのが正しい。

(2月7日付)