【韓国紙】家族の過去暴露で泥沼の大統領選に国民は失望


韓国紙セゲイルボ「社説」

韓国大統領選で支持率が拮抗する尹錫悦氏(左)と李在明氏(セゲイルボより)

 今日で79日後に迫った大統領選挙が最悪の泥沼の戦いになりつつある。文字通り「歴代級非好感大統領選挙」だ。候補の配偶者と子供など“家族リスク”まで浮き彫りになり、有権者の失望が極に達している。最近、野党「国民の力」尹錫悦候補の夫人キム・ゴンヒ氏の虚偽学歴・経歴問題が露見すると、与党「共に民主党」の李在明候補の息子の不法賭博問題が出てきて、両候補は相次いで謝罪した。両党の候補が大庄洞と告発扇動疑惑から抜け出せない状況で、相次いで提起される候補家族の疑惑に国民の心は複雑極まりない。

 事実確認もできていないネガティブキャンペーンが乱舞することも“低質大統領選挙”を煽(あお)っている。両党の選対委は共に事実でないことを主張しても、偽りと分かれば、適当に謝って知らん顔をしている。李候補側が提起したキム氏の虚偽学歴・経歴疑惑のうち、キム氏のソウル大経営専門大学院修士(EMBA)、光南中校生実習履歴は事実と判明し、尹候補側は李候補の息子の5000万ウォン預金増加が脱税あるいは賭博の収益ではないかと攻撃したが、正式な贈与分だと確認された。与野党が無差別攻防戦を行って政策対決がなくなって久しい。こうした動きは政治不信を超えて戯画化を深化させており、結局、今回の大統領選挙が歴代最悪の投票率にならないだろうか心配だ。

 大統領選挙は国家的難題を解決するために未来のビジョンを提示して社会的合意を模索する時間だ。ところが今は、選挙戦が候補者家族の過去の暴露合戦と激しい陣営対決で汚され、支持候補を決められない浮動層が次第に増加傾向を見せている。大統領選挙は聖人君子を選ぶものではないが、それでも平均以上の市民程度でなければならないというのが国民の希望であろう。両候補とも徹底した自省の時間を持って、これ以上国民を失望させてはならない。そうでなくても新型コロナウイルス感染の悪化などで有権者の疲労感が大きくなっている。

 各候補は“家族リスク”を突破する最善の方策が謝罪と釈明の真正性とタイミングにあるということを肝に銘じることを望む。尹候補が17日、夫人キム氏の疑惑について謝りながらも「経歴記載が正確でなくて論議を引き起こすことになった」と言及したことは、このような点で非常に残念だ。まともな謝罪のタイミングを逃せば、民心も共に失うことになる。国民も困難な状況ではあるが、次善でなければ次悪でも真剣に探す努力をしなければならない。

(12月20日付)