新型コロナ終息後に残る経済課題


韓国紙セゲイルボ

回復急務、政府と政界は知恵絞れ

 切迫した心情で“薬局ツアー”をしたり、ネットでマスク販売情報を確認して大急ぎで駆け付けたりしたことが、いつの間にか昔のことになってしまったようだ。新型コロナウイルスに対して、韓国社会全体が一丸となって取り組んだ結果、最近の新規感染者は1日10人前後に減った。遠からず「死亡者・感染者ともにゼロ」という朗報が聞こえてくるだろうとの期待を抱かせる。

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19日、韓国ソウル郊外で、買い物客でにぎわうショッピングセンター(EPA時事)

 問題はたとえその日が早く来ても、安心できないということだ。新型コロナ感染拡大から派生した国家的な挑戦課題が山ほどあるためだ。当面、経済だけを見ても暗鬱(あんうつ)だ。企業の規模と業種に関係なく将来がまっ暗だ。国内外の経済エンジンがほぼ停止状態に陥り、屈指の大企業でさえ両手を上げて政府に支援を求めている状況だ。

 韓国経済を下支えする数多くの中小企業と自営業の惨状はさらに言うまでもない。雇用市場は氷河期に他ならず、非正規職とサービス職などを中心に大失業時代がこの先に見えてきている。さらに韓国は貿易依存度が高く、経済危機のトンネルをいつ抜け出せるか予測できない。全世界が新型コロナの直撃弾を受けて苦しんでいるからだ。

 要するに大韓民国はどうにか自力で持ちこたえつつ、瀕死状態の経済をある程度回復させるのが急務だ。それだけに、政府と政界の役割がかつてなく重要ということだ。

 何よりも、災難状況でより一層脆弱(ぜいじゃく)な人々の呻きを減らすよう社会セーフティーネットをしっかりと整備し、支援の速度を速めなければならない。生まれて初めて経験する“オンライン始業”で露呈したように、公教育サービスまで家庭ごとの生活格差を反映させてはならない。資金難に苦しむ中小企業や庶民の生計支援のための“緊急災難支援金”もその名に相応(ふさわ)しい効果を挙げていない。

 国民統合のためのリーダーシップも切実に必要だ。国家的危機は国論を一つにまとめることができなければ克服し難いためだ。大統領府と政界が額を突き合わせて知恵を絞り出さなければならない。そうしろというのが総選挙の結果が示した民心だ。政府与党には「失政の責任をこれ以上、野党のせいにするな」と、また野党には「実力と代案もなく、無条件に政府の足を引っ張るやり方を見直せ」と、手厳しく警告したのだ。

 文在寅大統領をはじめとする政治指導者たちがこのような民心をよく汲(く)んで、韓国社会の統合と体質改善に努力してもらいたい。当面する高波を乗り越え、また別の感染病パンデミックなど、どんな危機に直面しても簡単に動揺する国にならないようにするためだ。

(イ・ガンウン社会第2部長、4月29日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

国難に団結する韓国人DNA

 「韓国人は砂だ。普段はバラバラで握っても固まらず落ちていく。しかしここにセメントが加わると硬く固まる」。韓国の知人が言った言葉だ。「セメント」とはいわば「触媒」で、これが時に「反日」「反米」だったり、国家的災難だったりする。これらに直面すると、あれほど普段ばらばらだった韓国人が団結して、強い力を発揮する。

 韓国も同じく新型コロナウイルスの感染に見舞われた。特に大邱の宗教団体でクラスター(集団感染)が発生し、それが国全体の感染者数を押し上げた。PCR検査をドライブスルー形式などを利用して大規模に行ったことから、感染者の“発見”も比例して大きくなった。しかし、その後の対策が徹底していたため、世界保健機関(WHO)から模範生のように評価されたりしている。

 だが、ここへ来て感染者発生数が減ったことで、記事が心配するように自粛が緩んできた。韓国でも大型連休を控え、感染者が少ない済州島や江原道の観光地へ人々が殺到することが予想され、感染第2波が危惧されている状況だ。

 総選挙で与党を勝たせた“民意”は与野党とも足の引っ張り合いを止めて、コロナという国難に一致団結して立ち向かえと訴えたものだと記者は指摘する。まともな意見で、いま韓国メディアのあちこちでこうした記事が見られるが、それは一方で、選挙不正追及や野党のごたごたが噴出していることを裏書きするものだ。

 コロナという触媒が薄まるにつれて、またバラバラに戻っていく韓国なのだろうか。

(岩崎 哲)