韓国経済に影響及ぼす新型コロナ
政府は中国依存減らす政策を
中国で始まった新型コロナウイルス感染症(COVID―19)が全世界に広がり、不確実性が長期化すれば、グローバル経済と韓国経済に及ぼす影響は途方もないだろう。
最近、海外の諸機関は大部分、経済成長率の展望を下方修正している。オックスフォード・エコノミックスは今年の予測値を2・5%から2・3%に修正し、中国は6%にも及ばず5・4%にとどまると予測した。
特にS&Pは韓国の成長率を2・1%から1・6%に低めた。このような否定的な展望が増える理由は、中国発の新型コロナにより多くの国々が消費と生産双方に悪影響を及ぼすためだ。
さまざまな状況を考慮すれば、新型コロナ事態が短期間に終息するとは断定できず、長期化する可能性も高い。したがって、韓国政府は新型コロナによって被害を受ける産業と企業に対する緊急支援策を積極的に展開しなければならない。
最近、文在寅大統領は「前例のない特段の対策」で経済と防疫の“二兎を追う”と表明した。政府は短期的な緊急資金支援策と共に中長期的な対策を用意しなければならない。中国に輸出する企業や中国から素材・部品を輸入する企業が中国発のリスクをヘッジングするように輸出入地域および品目の多角化を積極的に推奨し支援する政策を整えなければならない。
輸出入品目の地域多角化の重要性は過去の日本の事例を通じて知ることができる。2010年に中国と日本が尖閣諸島に対する領有権を主張して、武力衝突の危機に発展し、中国が日本への報復として先端産業に必須のレアアース輸出を禁止した。それによって日本は領有権紛争を引っ込める他はなかった。
その後、日本はレアアースなど主要物資の輸入先を国際的に多角化し、今回の新型コロナ事態でも韓国企業とは違って中国産部品の輸入中断問題で困難に陥ってはいない。
韓国も今からでも中国以外の新しい輸出市場と部品輸入企業を開拓して、代案となる対策を用意しておかなければ、これからもずっと中国発のリスクに晒(さら)されることになるだろう。
中国の経済成長率が1ポイント下落すれば、韓国の経済成長率は0・5ポイント下落する。これは単純に中国が韓国に及ぼす直接効果のみ考慮したものだ。中国経済が世界景気に及ぼす影響と国際的な景気が韓国に及ぼす間接効果まで考慮すれば、実際に韓国経済に及ぼす波及力はより大きくならざるを得ない。
政府は今後、新型コロナのような事態が中国でまた発生しても、韓国経済に及ぼす影響が最小化されるように輸出入地域と品目の多角化のための制度と政策作りに国力を総動員しなければならない。
(曺夏鉉(チョハヒョン)延世大教授経済学、2月24日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。
ポイント解説
のど元過ぎれば熱さ忘れる
対中貿易依存度が高い産業構造をもつ韓国は、中国経済がストップしたことで甚大な影響を受けている。中国からの素材・部品の供給も滞り、また対中輸出も支障を受けている。
何事にも一点に集中しがちな韓国では、朴セリが米国で活躍すると、こぞって女子ゴルファー育成に専念し、結果全米女子プロゴルフ協会(LPGA)で上位を韓国人が独占する。
KPOPが世界で評価されれば、似たような女性ユニットが“雨後の筍”のように出てきて、ルールも規制も整備されないままブラック業界となり、スキャンダルが続出し、若いタレントの自殺が相次ぐようになる。
中国経済が世界を引っ張り、巨大な市場を擁するとなれば、雪崩を打って韓国企業が中国に参入したり、貿易依存度が20%台後半にまで高まる。
一カ所に依存することが危険であることは承知しているはずで、問題が起こるたびに、「多角化」を政府もメディアも叫ぶが、問題が終息すると、いつの間にか元の木阿弥にもどり、多角化はいつまでたっても実現しない。
そもそも、一色に染まりたがる民族性を見直し、多様性を認め、個性を評価する、つまり人と違うことが普通にできる社会をつくらなければ、同じことの繰り返しになる。政府に多角化の制度化を求めるよりも、そちらの方が先なような気がするが。
(岩崎 哲)