同盟体制崩壊を意味するGSOMIA終了
「偽善と奴隷の道」自ら招来か
旧韓(大韓帝国)末の亡国の亡霊が復活したようだ。韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了は韓米日同盟体制の崩壊を意味する。20世紀初め大韓帝国を主導した偽善的・党派的な性理学は今日の虚偽的・左派的な従北主義に代替されている。
この100年間、われわれがしてきたことは何か。南北分断と同族同士の争い、韓国の国民所得3万㌦と北朝鮮の核保有だ。激しい南北対峙状況の中で、これは下手すると北朝鮮の核が韓国の富を破壊する民族共倒れを招くかもしれない。もしそうなれば、100年の辛苦の末に建てた塔は崩れてしまうだろう。
韓国文化の偽善と名分主義は韓民族を偽善と妄想、偽善とロマン、偽善と彷徨に追い込んだ揚げ句、今は“偽善と奴隷”の道を自ら招来しているのかもしれない。なぜなら今、北朝鮮は王朝全体主義社会である一方、韓国は高所得にもかかわらず自らのアイデンティティーと神話を喪失して彷徨しているためだ。これは主人意識を持たない奴隷状態と変わらない。北朝鮮の住民に続き、韓国まで奴隷の道を行くということは韓民族の世界史的な恥だ。
北朝鮮の統一戦線と対南戦略は全く修正されておらず、北が唱える“ウリ民族同士”は“韓国のアイデンティティー”を傷つけている。自由・資本主義に飼い慣らされた大韓民国が社会主義に移行できないことは明確なのに、政権勢力は親中・従北征策への旋回を企図している。米国がこれを決して座視しないだろうことは火を見るより明らかだ。
GSOMIAが終了すれば、韓国の経済は破綻し内憂外患に見舞われるだろう。よく頑固一徹の人に「死んだら変わる」というが、国家が死ぬことはできないではないか。
国際情勢に対する韓国人の愚かさは20世紀と21世紀で全く変わらなかった。日帝によって国を一度失ったという事実は、国を守る文化能力が完全に底を見せたことを意味するが、韓民族は反省もせずに党派戦いを続けている。
南北分断も党派戦いの延長と見られる。自由・資本主義と共産・社会主義、左派と右派の分裂は韓国人の理性と知的能力を疑うのに十分だ。自らの考えと判断で合意を導きだせないから、結局、体で戦うほかはないだろう。
南北が韓民族の文化能力を拡大再生産する方向で統一と平和を達成できなければ、韓民族は呪われた民族になってしまうだろう。“祝福される国民”になるか“呪われる国民”になるかは韓国人自らにかかっている。
(朴正鎮(パクジョンジン)文化評論家、11月19日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。
ポイント解説
亡国の歴史から学ばないのか
「この100年、韓民族は何をやってきたのだろう」。韓国知識人の嘆きだ。20世紀初頭、東アジア情勢の現実に目を瞑り、帝国とはいっても旧態依然とした王朝政治、それも権謀術数渦巻く朝廷内の党派争いに明け暮れ、対立勢力を倒すためには国をも売るような身勝手、無責任な執権勢力によって、国を失うという「恥辱の歴史」を経験した。
いま韓国内だけでも自由保守と従北共産勢力が党派争いをし、南北の括(くく)りで見ても同じように体制の争いを繰り返している。どうして国難に対して一致団結して立ち向かうことができないのだろうか、という悲嘆には、同情よりもむしろ呆れの方が勝つ。
岡目八目ではないが、韓国の国民はいま危うい道に入り込んでおり、外に敵(日米)を作りながら盲目的な民衆を扇動する政権に誤導されているように見える。歴史の流れの正誤を判断するのは難しいが、少なくとも、朴正鎮氏が指摘するように「奴隷の道」に突き進んでいるという警告には同意せざるを得ない。
ここで気になるのは、どうして気付かないのだろうかについて、朴氏は「文化能力」の限界を見ていることだ。亡国あるいは被支配の歴史を繰り返してきたはずなのに、それに学べないのはどういうことなのか。
半島の地政学上、周辺の強国に右顧左眄したかと思うと、小中華意識から「夷を以て夷を制す」式の実力からは手に負えない芸当に走って失敗する。知識人の警鐘が虚(むな)しく響いただけで終わるのか。気付けよ、韓国。
(岩崎 哲)