【上昇気流】欧州では、新型コロナウイルスの「第5波」


新型コロナウイルス

 欧州では、新型コロナウイルスの「第5波」で感染が再び急拡大している。1日当たりの新規感染者がこれまでで最も多くなったオーストリアでは、ワクチン未接種者の不要不急の外出が禁止され、違反者には500ユーロ(約6万5000円)の罰金が科される。措置に反対する集会も開かれた。

 欧州の冬の訪れは早い。感染の再拡大は季節性の要因もあるだろうが、やはりワクチン接種の「7割の壁」が大きいようだ。接種率が7割に達していないオーストリアに対し、8割を超えるポルトガルやスペインでは比較的落ち着いた状況という。

 歴史上何度も繰り返されてきた疫病が収束したのは、感染拡大で多くの人が抗体を持つようになり、集団免疫が生まれるためとされる。しかし政府分科会の尾身茂会長は、新型コロナに関しては、ワクチン接種率が7割を超えても、変異株の感染力の強さ、さらに時間の経過とともに抗体が弱まることなどから、3割の未接種者への感染を防ぐのは困難との見通しを7月に示している。

 抗体の減少には3回目のブースター接種が有効で、12月には開始される。接種率7割で不十分であれば8割、9割を目指せばいいのではないか。

 集団免疫の獲得は、これまでの定説通りにはいかないのかもしれない。しかし、ワクチン接種の効果は明らかだ。

 7割を超えたことで満足するのでなく、さらに接種を進め、ワクチンパスポートも普及し接種効果を高める必要がある。