メコン上流 中国のダム問題


金子 民雄

環境と下流国を顧みず

歴史家 金子 民雄

 ゆく川の流れは絶えずしてしかも元の水にあらず、淀(よどみ)に浮かぶ泡沫(うたかた)はかつ消えかつ結びて久しくとどまることなし――とは、たしか古典の方丈記の書き出しの名文だったと思うが、もう続きは忘れて思い出せない。ところが、なぜか最近になってこの文言を思い出すことが多くなった。それは日本中のあちこちの川を見ても、かつてのような心を洗ってくれるような気分が、さっぱりなくなってしまったからだ。


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