観光客乗せた象暴走


地球だより

 タイ北部のチェンマイで下旬、象に乗ったトレッキングツアーの最中、中国人観光客3人を乗せたオスの象が暴れだし、タイ人男性の象使いを牙で突き殺した上にジャングルの中に走り去った。

 放っておけばさらに犠牲者が増すことになると、直ちに象使い仲間が逃げた象を追跡。結局、以前にこの象を担当していた象使いが、メスの象に乗って近づいて乗り移り、なだめすかせて落ち着かせ、象園に連れ帰った。

 3時間もの間、暴れ回る象の上に振り落とされないようにしがみ付いていた中国人観光客にしてみれば、暴れ馬に乗るロデオ競技に強制的に参加させられたようなものだ。

 しかも、ロデオならば振り落とされても、命をも落とすことはまれだが、象から振り落とされでもしようものなら、牙で突き殺された象使いの運命が待ち構えている可能性が高いのだ。牙の脅威を逃れても、足で踏み付けられただけで即死だ。

 だから必死でしがみ付いていただろうことは想像に難くないが、生きた心地がせず、それこそ「ゾー」とするようなとんだ災難だった。

 タイではこれまでにも、写真を一緒に撮ろうとした観光客がトラに襲われたりという事故が起きている。

 日頃、おとなしいからといって、獣は獣だ。いつ、野生の血が騒ぎだすか分からない。

(T)