中国、中東への経済進出着々


「一帯一路」にイラク参加

 巨大経済圏構想「一帯一路」を推進する中国は、米企業が二の足を踏んでいる中東にも進出。イラク、パキスタンへの投資を強化する一方で、内戦中のシリアとの経済的連携をも模索、中東でのプレゼンスを弱める米国に取って代わろうとしている。

 昨年10月、訪中したイラクのアブドルマハディ首相(当時)は、習近平国家主席に「イラクは戦争、内戦を経験してきた。中国からの重要な支援に感謝する」と述べ、一帯一路への協力を表明した。

 アナリストらは、これは近年加速する中国による中東への経済的進出の一部にすぎないと指摘する。

 中東では主要インフラの整備が遅れたり、戦争で破壊されたりしている国が多く、中国はこの地域を有望な投資先とみている。

 米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ政策研究所(AEI)とヘリテージ財団によるプロジェクト「中国世界投資トラッカー」によると、中国はイラクに2005年以降、約240億㌦を投入しており、その大部分はエネルギー部門だった。

 中東、北アフリカ全体では、過去15年で約2000億㌦を投入、一帯一路の推進によって、今後10年で急増すると予測されている。

 ポンペオ国務長官ら米政府高官らはこのところ、中国との取引には慎重を期すよう中東各国に警告している。しかし、ほとんどの国は注意を払っていない。アナリストらは、イラクとその周辺国は、中国との連携に関心を示しており、これらの危険でリスクの高い地域での中国企業の活動が容易になっていると指摘する。

 戦略国際問題研究所(CSIS)の「リコネクティング・アジア」計画の責任者ジョナサン・ヒルマン氏は、「一帯一路は、リスクの高いビジネス環境で特に発展しやすい。西側の企業は、そのような場所でのリスクを取りたがらないからだ」と指摘している。

 中国は、9年にわたる内戦で経済、インフラが崩壊しているシリアにも触手を伸ばしている。

 シリアのアサド大統領は昨年12月、香港のフェニックステレビとのインタビューで「国内の大部分が解放され、経験豊富な中国企業と再建をめぐって協議を開始した」と中国からの投資受け入れに前向きな姿勢を示した。

(ワシントン・タイムズ特約)