拉致被害 首相、金氏と「無条件で」


家族会 全員の即時帰国求め集会

 安倍晋三首相は16日、東京都内で開かれた、北朝鮮による日本人拉致被害者全員の即時帰国を求める「国民大集会」(主催=拉致被害者家族会など)であいさつし、「拉致問題を解決するには、日本が主体的に取り組んでいく必要がある」とした上で「私自身、条件を付けずに金氏と向き合う」と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との無条件での会談に改めて意欲を示した。

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拉致被害者全員の即時帰国を求めシュプレヒコールをする拉致被害者の家族ら=16日午後、東京都千代田区のシェーンバッハ・サボー、川瀬裕也撮影

 北朝鮮が拉致を認めて謝罪した日朝首脳会談から17日で17年。高齢化が進む家族からは「一日も早く解決を」との声が上がった。集会には1000人が参加した。

 首相は、5月にトランプ米大統領と拉致被害者家族らが面会した際、拉致被害者・有本恵子さん=拉致当時(23)=の父明弘さん(90)がトランプ氏に宛てた手紙をトランプ氏本人が受け取り、後日明弘さんに返事が届いたというエピソードを紹介。「トランプ大統領もこの問題に強い関心を持っている」と述べ、引き続き日米の連携を強化していく方針を示した。

 横田めぐみさん=同(13)=の母早紀江さん(83)は「こんなに長い年月帰ってこないとは思っていなかった。何年待てば帰ってくるのかと本当に苦しい思いをしています」とつらい心境を吐露した。

 拉致被害者の曽我ひとみさん(60)は同級生と還暦のお祝いをした際、母ミヨシさん=同(46)=の若い頃の写真を見せてもらってうれしかったと明かし、「でもこれはあくまでも写真。本当は元気で生きている母ちゃんに会いたい」と話した。

 首相は集会に先立ち、被害者家族らと面会し、「日米、国際社会と力を合わせて全力を尽くす」との決意を伝えた。