安倍首相の基調演説、中国への対抗心にじます


「共に国連安保理改革」を

 第7回アフリカ開発会議(TICAD7)に何カ国が参加しているのか、外務省の担当官の歯切れは悪い。表向きは正確に集計をする必要があるからだが、正式発表は最終日になるとみられている。会議開催前から参加国数にメディアの関心が寄せられていたが、明らかにされることはなかった。これについて中国からの圧力がアフリカ諸国にあるとみられている。

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安倍晋三首相が基調演説を行ったTICAD7の開会式=28日午後、神奈川県横浜市(森啓造撮影)

 「日本にはアフリカと一緒にやりたいことがある」。安倍首相は基調演説で中国を名指しこそしなかったが、強い対抗心をにじませた。「日本とアフリカをつなぐインド・太平洋を法の支配が貫く国際公共財として大切に守る」「(日本とアフリカ諸国が)共に歩むその先には、国連安保理改革がある」との立場を主張した。

 アフリカ大陸でアフリカ連合(AU)に加盟する55カ国のうち日本は西サハラを除く54カ国と国交を持つ。大阪の万博招致決定もアフリカの票田が決め手になった。発展途上にあるアフリカは国際社会での地位も高まり、国際世論への影響力もつけてきている。

 わが国はTICADを1993年にスタートさせたが、90年代に経済を発展させた中国は2000年に中国・アフリカ協力フォーラムを立ち上げた。3年間隔で開催されており、昨年は北京で開かれた同フォーラムには台湾と国交を結ぶエスワティニを除く53カ国の首脳が参加した。中国のアフリカへの影響力はサントメ・プリンシペ、ブルキナファソの台湾との断交などに現れている。

 わが国が国連安保理常任理事国を目指した際に、強く反対を表明したのは中国だ。また、尖閣諸島や南シナ海をめぐる海洋進出など中国の覇権主義が表出し、わが国としては欧米諸国と協調してアフリカでの自由主義諸国の影響力維持に努めたいところだ。

(TICAD7取材班)