安倍首相基調演説、アフリカ向け民間投資加速を後押し
インド太平洋「法の支配」強調
日本政府が主導してアフリカ支援策を話し合う第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が28日、横浜市で開幕した。安倍晋三首相は基調演説で、日本政府としてアフリカ向け民間投資の拡大を後押しする姿勢を表明。また日本とアフリカを結ぶインド太平洋地域における「法の支配」の重要性を強調し、参加国へ連携を呼び掛けた。
会議にはアフリカなど約50の国・機関の代表らが参加し、アフリカへの開発支援策などが議論される。最終日となる30日に成果文書として「横浜宣言」の採択を目指す。
安倍首相は演説で、前回TICADが行われた2016年からの3年間で「日本からアフリカへの民間投資が200億㌦(約2兆円)に達した」と指摘。「投資の勢いがこの先、日々新たに塗り替えられるよう日本政府は全力を尽くす」と述べ、民間からの投資拡大を加速させる方針を示した。
またアフリカと共に取り組みたいこととして、「インド太平洋を、法の支配が貫く国際公共財として大切に守ること」を強調。米国やオーストラリアなどと協調する「自由で開かれたインド太平洋構想」への連携を呼び掛けた。南シナ海やアフリカ沿岸において海洋進出を図る中国を牽制(けんせい)した形だ。国連安保理改革についても、日本とアフリカの共同の課題として解決に取り組む姿勢を強調した。
さらに、紛争の予防・仲介・調停や、司法・行政・立法の制度確立を助ける取り組み「NAPSA」を打ち出し、アフリカ連合(AU)などと共同で援助に取り組む方針を表明した。
TICAD7の開幕に先立ち、治安悪化の影響が懸念されている北アフリカ・サヘル地域に関する特別会合が行われた。会合では河野太郎外相が共同議長を務め、司法・行政・立法人材の育成や、教育・医療分野における日本の支援を表明した。
(TICAD7取材班)