アフリカへ民間投資促進、第7回アフリカ開発会議がきょう開幕


中国念頭に存在感高める狙い

 日本政府が主導しアフリカ支援策を話し合う第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が28日、横浜市で開幕する。会議では民間からの投資促進や、防災・保健分野の協力などについて議論。近年アフリカ諸国への影響力を強める中国の存在を念頭に、会議を通じてアフリカ地域における日本の存在感も高めたい考えだ。

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 TICAD7は28日から30日の日程で行われ、アフリカ54カ国のうちほぼすべての国が参加する。安倍晋三首相は28日に基調演説を行い、その後「アフリカ開発の将来」「平和と安定の強化」など六つのテーマで全体会合が開かれる。

 30日には成果文書として、日本とアフリカの経済協力や開発方針をまとめた「横浜宣言」の採択を目指す。宣言には「法の支配に基づく海洋秩序の維持」の重要性を盛り込みたい方針だ。アフリカ沿岸でも海洋進出を進める中国を念頭に置いたもので、中国との関係が深い国の賛同を得られるかが焦点になる。

 中国は広域経済圏構想「一帯一路」の一環としてアフリカ地域で巨大インフラ投資を進めており、債務の不健全性などが国際社会から問題視されている。日本は「質の高いインフラ整備」などを掲げて、中国との違いを積極的に打ち出したい考え。

 日本貿易振興機構(JETRO)のビジネス・エキスポなども公式イベントとして併行して開催され、アフリカ各国首脳が集まる機会に商談を後押しするなど、民間投資拡大に向け官民の連携も目指している。

 環境問題では、アフリカ諸国ではごみ処理の設備が不十分な国が多いことから、各国への技術支援を宣言の中に盛り込む。ごみ山の崩落で犠牲者が出たモザンビークでの処分場建設をモデル事業に位置付け、来月にも着手する。

 治安悪化が懸念される北アフリカ・サヘル地域に関する会合も設ける。同地域については、フランス・ビアリッツで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)でも25日に議論。地域の治安悪化が国際社会にも影響を及ぼし得るとして、職業訓練や雇用創出を通じて開発を後押しする方針が確認された。

 またTICAD7では首相と各国首脳との会談も予定されている。

(TICAD7取材班)