防災専門集団の検討も
今年は年初から日本列島の至る所で災害が起きている。2月には日本海側での豪雪。6月18日に起きた大阪北部地震。西日本を中心に大きな被害をもたらした西日本豪雨(平成30年7月豪雨)などだ。
そのたびに自衛隊は災害派遣要請に基づき、被災地に出動し、行方不明者の捜索活動や給水・入浴などの住民支援を行っている。
物理学者の寺田寅彦は「災害は忘れたころにやってくる」という警句を残しているが、東日本大震災以降、日本で起こる災害の頻度を考えれば「災害は忘れる前にやってくる」という表現の方が、より正確な災害観を表しているような気がするのは私だけか…。
一方で、寺田は昭和9(1934)年11月、雑誌『経済往来』に寄稿した「天災と国防」の中で次のように述べている。
「日本は気象学的地球物理学的にもきわめて特殊な環境の支配を受けているために、その結果として特殊な天変地異に絶えず脅かされなければならない運命のもとに置かれていることを一日も忘れてはならないはずである。日本のような特殊な天然の敵を四面に控えた国では、もう一つ科学的国防の常備軍を設け、日常の研究と訓練によって非常時に備えるのが当然ではないかと思われる」
自衛隊は陸海空合わせても約23万人しかいない中、東日本大震災では、10万を超す人員を被災地に派遣。この時、予備自衛官も初めて招集された。
今後30年以内に70%の確立で起こると予測されている首都直下地震の場合、東日本大震災以上の派遣規模となるだろう。南海トラフ巨大地震が起きた場合には、被災地域が広域化するため、自衛隊でも対応することは難しい局面が出てくるだろう。
防災省創設の声もあるが、同時に民間の組織を活用しながら、寺田が言うように「日常の研究と訓練によって非常時に備える」ための災害派遣専門集団を創設することも検討してみてはどうだろうか。自衛隊の本来の任務は国防なのだから。
(濱口和久)





