「公明」の衆院選分析 6議席減に「力量不足」

小池都知事に手のひら返し

 公明党は衆院選で35議席から29議席へ6議席減らした。この後退は敗北といえる。しかし、機関誌「公明」12月号で選挙結果を扱った「第48回衆院選の結果分析/8小選挙区で激戦突破。比例代表は新人2人を含む21人が当選/国民の負託に応える政策実現に全力」(タイトル)、「政治改革の視点/今こそ政党の真価を発揮すべき時―生活者の目線に立つ公明党に大きな期待」(同)の2本の記事に敗北感はそれほど出ていない。

 これは、自民・公明の連立与党で313議席と3分の2の勢力を占めたからで、結果について「政策を遂行する総合力を有する安倍政権の継続が最も現実的な選択肢だ。有権者はそう判断した」との読売新聞(10・23)記事を引用する形で見解を示した。

 「政治改革の視点」の記事では、「議席減は党自身の力量不足に尽きる」と敗因を一言。その上で「今後、自民、公明両与党に求められるのは、安定した政権運営のもとで政局ではなく政策で勝負し、実績を積み上げていくことだろう」と述べ、自戒している。

 「衆院選の結果分析」の記事では、小選挙区に候補を擁立した9選挙区の多くで一本化した野党候補を相手に、8選挙区を制したと強調。5議席減らした比例代表には、「前回と比べ、33万6524票減り、得票率も12・51%と、前回を1・2ポイント下回った」との報告にとどまり、善戦したブロックや県の紹介の方に紙幅を割いた。

 結局、敗因の分析になっていない。素直に比例票の順位を見れば、公明党697万7712票の上に、立憲民主党1108万4890票と希望の党967万7524票の得票数があるわけで、両新党が公明党を脅かしたと見るのが自然だ。

 が、両新党には、選挙前に希望の党に民進が合流しようとした「異常事態」、立憲民主党を現行選挙制度で「最小の」野党第1党と評するなど批判して、過小評価しているようだ。

 さらに同誌は、希望の党を結党した小池百合子東京都知事に「メディア受けする『劇場型』の戦術により、都議選で成功した“小池旋風”の再来を狙ったのだろうが、当初から準備不足が透けて見えた」、「国民の多くは『排除』と発言した小池代表に、上から目線の“おごり”と“冷たさ”を感じたに違いない。実際、これがきっかけで、希望の党は失速した」など、手のひらを返したように厳しい攻撃を加えた。

 と言うのは、公明党は東京都議選で「劇場型」の“小池旋風”に乗り、同誌でも小池氏との協力をアピールしていたからだ。昨年来の都政で、公明党は自民党と袂(たもと)を分かつ政局を演出し、都議選でブームに乗る小池新党「都民ファーストの会」と組み、自民党の歴史的大敗を尻目に全候補者が当選した。

 突然の衆院解散、希望の党結党に大きく影響したのは都議選だ。民進党分裂と立憲民主党結党にもつながった。その結果、衆院選小選挙区が主戦場の自民党は野党が割れて有利になった半面、比例代表を主戦場とする公明党は立憲民主と希望の両新党が票を吸収して、議席が後退したのだ。

編集委員 窪田 伸雄