86歳不破氏の去就にも注目
「知的後退が見られる」
元共産党書記局長代行 筆坂秀世氏に聞く
党執行部の体制を見ると、よほどのことがない限り、志位氏が委員長ということでこれから10年、20年いくのか。
20年はともかく、当分続くだろう。次の党大会での注目点は、不破(哲三前議長)さんが引退するかどうかだ。86歳だがそれがまだ現役の指導者である。
不破さんにくっついている浜野忠夫副委員長(常任幹部会委員)も84歳と高齢だ。不破さんの腰巾着で、引退したかったけど不破さんに辞めるなと止められた。僕が党にいた十数年前から、不破さんの得る情報は、浜野(氏)を通じてだった。不破さんの指示は、浜野(氏)を通じて自分のところに来ることが多かった。
不破氏引退の可能性は。
志位さんにはまだ切れないだろうなと思う。不破さんが辞めるには志位さんから言うしかない。(1958年に党書記長に就任してから40年間、党のトップとして指導し、委員長、議長を歴任した)宮本(顕治)さんのときと一緒だ。不破さんから直接聞いた話だが、「そろそろ引退してほしい」と宮本さんに言うと、「君、僕が間違いを犯したのか」と言われたと。宮本さんの言っていることはぼけている。90歳を過ぎてまだ党のトップというのは世間の常識から見てどう考えてもおかしい。それを聞いて、不破さんは「知的後退が見られる」と会議で報告した。
聞くところによると、不破さんは高齢を理由に、毎週常任幹部会には出ていない。浜野(氏)は出ているので置いておかないといけない。死ぬまで辞めないのではないかと思う。仮に辞めるとしたら、今の党からの待遇を続けるという保証があることだ。党本部の車の送り迎え、コックさんを常駐させるという待遇だ。丹沢の山中に不破夫妻が住んでいるのだが、身体の調子が悪ければ東京都内の病院にも行く。何しろ2人とも高齢だから。その都度、党本部の車で送り迎えをする。
長い間、不破さんの秘書をやっている人が言っていたが、「不破さんは辞めるに辞められないんだよな。あんなところに住んで」と。もし辞めたら、不破哲三といえども一党員になる。その一党員に対して、送り迎えするなんてことは許されない。だから辞めないと思う。
最近の不破氏の様子は。
感覚が鈍くなっている。参院選の街頭演説で、伊勢志摩サミットの際、安倍首相が各国首脳を伊勢神宮に参拝させたが、伊勢神宮は「戦争推進のために利用された神社じゃないか」と話していた。埼玉県あたりで演説したのだからいいが、三重県に行ってそんな演説ができるか。オバマ米大統領たちは平和を願って記帳しているのに、そこを批判するか。ものすごくセンスが悪い。
とにかく、昔の不破さんならこんな演説をしないだろう。もっと八方に気を使った演説をしただろう。まさに不破さんが宮本さんについて言ったように「知的後退が見られる」と思う。
(聞き手=早川一郎編集局長代理・政治部長)
(おわり)