どうなる「民共協力」 蹴られても民進に付いていく
元共産党書記局長代行 筆坂秀世氏に聞く
日本共産党が今月15日から4日間、3年ぶりに27回党大会を開く。同大会の焦点は何か、民進党との協力関係はどうなるのか、などについて筆坂秀世元共産党書記局長代行(元参議院議員)に聞いた。(聞き手=早川一郎編集局長代理・政治部長)
党大会決議案もまとまったが、今回の大会の特徴は何か。
決議案に「日本の政治の新しい時代が始まった」とか「新しい時代を開いた」などと書かれているが、言い方がオーバーだ。共産党の党大会は、大言壮語の大会だ。新しい時代を開いたというのは、要するに、野党の共闘だけでなく、「野党と市民との共闘」ができたからということである。これが、今回、共産党が一番売り込みたいところだ。
しかし、「シールズ」(若者組織)が生まれ、彼らがドンチャンドンチャン今風にやっていたその周りに共産党の老人がたくさん集まっていた。それを市民との共闘と言っているが、実態はどこにあるのか。この間の参院選の結果は市民との共闘があるというような得票数ではない。昨年7月の都知事選を見ても、市民票の多くは小池(百合子)知事に行ったではないか。
大会決議案に野党連合政権をつくろう、とあるが、党執行部の本気度は。
それは本気だろう。共産党は民主連合政府を1970年代の遅くない時期に樹立すると言って、「民主連合政府綱領提案」を出した。われわれ若い党員は当時、本当にできるのではないかと期待を持った。当時、東京、京都、大阪、横浜市などで、社会党と共産党が組み革新自治体を作ってきた実績があった。共産党と社会党、総評も合わせれば、国政でも革新の側が政権を取れるかもしれないという期待感が党内にあった。しかし、共産党と社会党は国政段階では一度も共闘できなかった。
そのうち社会党が消え、民主党政権ができると益々(ますます)困難になった。そこで民主連合政府構想は全く、夢幻になってしまった。
ところが一昨年の安保法制によって劇的な変化が起きた。維新を除く野党4党が一致してしまったからだ。保守の本道を歩いてきたはずの小沢一郎さんまでが国会前で「立憲主義を守れ」とやった。これは、かつてないことだ。
そうすると、野党が選挙協力をすることによって民主連合政府ができるのではないかというリアリティーが出てきた。私はできやしないと思うけど。ただ、これは共産党が党員や支持者を結集していく上でも宝となる。国政選挙で協力するという初めてのことをやっている。だから共産党は、民進党を絶対離したくない。蹴られても付いていきますという気持ちだ。
もちろん民進党に対して「共産党も応援しろ」と表向きは強く言う。共産党だって民進党の弱みを知っている。参院選の32の1人区のうち11で勝ったのは、野党共闘の力だ。前回の総選挙の票で次回の総選挙を見ると、83の小選挙区で野党が勝つという分析をマスコミがしている。前回のほぼ倍だ。そうすると自公の3分の2体制は終わる。民進党も、連合がいくら共産党と組むなと言っても、参院選でうまみを覚えてしまった。当選した議員は共産党に感謝している。民進党だって簡単に共産党と手を切るわけにはいかないと思う。
民進党だって共産党だって次の総選挙で自公政権を倒せるとは思っていない。そうなると、大雑把なところで一致すればいいじゃないかとなっていくと思う。











