共通公約作りが落しどころ 小沢一郎氏が知恵付け

どうなる「民共協力」 27回共産党大会の焦点(2)

元共産党書記局長代行 筆坂秀世氏に聞く

蓮舫、野田執行部は、民共共闘で一歩引いている印象だが、最終的にはまとまると。

筆坂秀世

 僕はそう思う。昨年10月の衆院補選でも民進党は共産党の推薦を断っている。しかし共産党の志位和夫委員長は、共産党の候補を降ろして選挙応援にも行っている。ところが、そこに民進党は蓮舫、野田の両氏も候補者も来なかった。そこに行って、民進党候補を野党統一候補ですと言って応援し、負けた。共産党は、それでも民進党とやりたいのだ。

 小沢一郎さんが知恵を付けていると思う。志位さんが「連合を選ぶか、野党共闘を選ぶかどっちかにしろ」と非常に厳しい記者会見をやった。普通、共産党はここまで言うかと思う。民進党に逃げられたら一番困るのは共産党だ。候補者も来ないという無礼な扱いを受けてでも耐えたのを小沢さんは見て、「民進党はなめている。ガツンと言ってやれ」と言ったのではないか。

こういう共産党の卑屈なまでに忍耐する姿勢は、一昔前の宮本(顕治)体制では考えられない。これは、志位委員長の意向が影響しているのか。

 志位さんも、不破さんもこの路線に賛成なので進んでいるのだと思う。民主連合政府にやっとかすかなリアリティーが出てきた。志位さんは記者クラブなどで、われわれも変わらないといけない、と言っている。今度の大会決議案に「不断に自己改革をすすめ」、との文言も入っていたが、日本共産党への拒否反応に対しても、われわれ自身も変化していかないといけないといった、普通の政党への脱皮を意識していると思う。

前衛党であり、価値観の決定権は、自分たちにあるとしていたが。

 前衛党は規約からなくなったが、そもそも、社会主義をリアルに展望できないではないか。マルクスが立てた命題の資本主義から社会主義への発展は必然であると今さら言えるか。綱領を見ても全く青写真すら描けない。言っているのは、「生産手段の社会化」だけ。ではそれを国有化するのか、集団化か、株を取り上げるのか何も書いていない。よく分からないので多様な形態があり得るというようなことを言っているだけで全く答えを示せていない。これでは前衛も何もない。

選挙協力では、競合する小選挙区が190余りあるが。

 共産党からすると勝てそうなところは限られている。だから、調整はつくと思う。ただ、どちらも本気で議席を狙いたいという場合、難航するところも出てくるだろう。そこが問題だ。

 京都だったら、共産の穀田恵二(氏)のところ(1区)に民進が、民進の前原誠司(氏)のところ(2区)に共産が入れることもあり得る。ただ京都は反共が強いから、共産党が立てないで、内々の支援ということもある。そこはバラバラになる可能性がある。前原(氏)だったら推薦は入らないけど票はくれという可能性がある。なかなか参議院のように単純にはいかない。衆院選は選挙区が多く、入り乱れるから。これとこれは、野党の共通公約にして他はバラバラに行こうと。

 だから共産党と、政権構想合意まで踏み込むかというと難しいだろう。せいぜい共通公約を作るあたりが落としどころではないか。

(聞き手=早川一郎編集局長代理・政治部長)