“タフガイ”に囲まれた韓国


韓国紙セゲイルボ

司令塔不在で外交安保の危機

 朴槿恵(パククネ)大統領弾劾政局の中で“タフガイ”に囲まれた韓国の外交安保が危機に直面している。

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4日、ソウルで、外交・安全保障政策の方針説明を受ける会合に臨む韓国の黄教安大統領代行(EPA=時事)

 サード(高高度防衛ミサイル)、慰安婦問題での日韓合意をめぐる中国と日本の報復措置に続き、北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)試験発射を予告している。ここに自国第一主義を強調するドナルド・トランプ大統領当選者の米国、ウラジーミル・プーチン大統領のロシアも韓国の外交安保動向に重大な変数として浮上している。

 金正恩(キムジョンウン)労働党委員長、トランプ当選者、習近平中国国家主席、プーチン露大統領、安倍晋三日本首相の対外強硬策が、朴大統領弾劾で外交安保司令塔不在の大韓民国を追い詰めているのだ。

 日本は少女像を口実に攻撃を継続している。長嶺安政駐韓大使と森本康敬駐釜山総領事は9日、釜山日本総領事館の前の少女像設置に抗議して帰国した。安倍首相に続き岸田文雄外相も「遺憾」を表明して、圧迫を続けている。

 北朝鮮外交部報道官は8日、「大陸間弾道ミサイルは最高首脳部が決心する任意の時、任意の場所で発射されることになるだろう」と威嚇した。外交界では韓米連合軍事訓練(キーリジョルブ)を始める前の2月中に発射がありえると見ている。

 中国はサードでの対韓圧迫を継続すると明確にしており、トランプ新政府で予想される米国のアメリカ第一、保護貿易主義も“開かれた経済”の韓国には不安要素。ロシアもどのように出てくるか分からない状況である。

 にも関わらず韓国は外交安保的危機で指令塔が不在だ。朴大統領は弾劾事態の当事者で、朴大統領が任命した黄教安(ファンギョアン)大統領権限代行にも制約がある。金寛鎮(キムクァンジン)大統領府国家安保室長ら外交安保部署の首脳部が相次いで訪米し、新政府との接触を試みているが、米国の政権交代期に韓米共助が正しく作動していくのか疑わしい。

 金興圭(キムフンギュ)亜洲大中国政策研究所長は、「過去のように親米か親中か、サード反対かサード賛成かという二分法的思考方式で新しい国際秩序の難局を乗り切っていくのは難しい」とし、「新しい戦略を試みるよりは、現状況を管理して、不確実性を引き起こす変数を客観的に評価し対応する慎重な外交安保政策が必要だ」と強調した。

(金チョンジュン、朴スチャン記者、1月9日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。