福島と民主の再生、復興が統一地方選の争点
11月知事選見据え党大会
民主党は東日本大震災から3年経(た)つのを前に党大会を被災地の福島県で開催した(2月8、9日・郡山市)。同党の機関紙「プレス民主」(2・21)は「2015統一自治体選を勝ち抜く体制を」と題して海江田万里代表のあいさつを掲載。「15年統一自治体選を勝ち抜くことこそ民主党再建の強固な基盤となり、国政選挙での反転攻勢の先陣となります」と、統一地方選を党再建をかけた「当面最大の政治決戦」と位置づけた 。
同紙は「『学び、語り、再起しよう』をテーマに開いた定期大会は、被災地を忘れずに、東日本大震災からの復興に向けて福島県の現状を党全体で間近で見て、課題を聞き、政策実現につなげていこう」と、開催地を福島県にした理由を綴(つづ)る 。
同時に、福島は民主党が佐藤雄平県知事を擁する知事与党であり、統一地方選で可能性のある主戦場にする狙いもある 。
党大会から「プレス民主」は統一地方選に向けたページを設けた。3月7日号は「2006年11月の佐藤雄平知事誕生後、県政与党となった福島県民主党」の亀岡義尚県連幹事長に「統一自治体選へ向けた福島の取り組み」について聞いている 。
県議会(定数58)で民主党系会派は少数与党(14議席)だが、統一選にかける決意を亀岡氏は「復興、復興、復興。あとは結果を出して今の県政を支え、県民に実感してもらえるような政党になるように県政一体となって実行に当たる覚悟です。それが支持率につながり、結果として勢力の拡大、議席増につながると考えています」と語り、福島再生に党再生をかけている。安倍政権も復興加速化を打ち出しているが、県政レベルで実績をアピールする構えだ 。
だが、亀岡氏は厳しい状況も伝えている。震災発生時に政権与党であり、「わらをもすがりたい県民の皆さまから大変な叱咤をいただき」、震災発生で11年11月に延期された前回県議会選挙は21議席から大きく後退した。今年11月の知事選にも「放射能被害によって人々のなかに現状に対する不満、不平があるため、現在でも現職の首長を替えれば状況が変わるのではないかという期待が投票行動につながり、首長選などで現職が敗北するケースが出ています」と警戒している 。
同紙2月21日号の党大会記事に載る佐藤知事の来賓あいさつには、「①原子力に依存しない持続可能な福島をつくる②全国から支援をいただいている皆さんの気持ちを一つにして復興にあたる③福島のそれぞれの地域で培ってきた文化を取り戻す」との復興理念が述べられている 。
冒頭に脱原発を掲げることから、復興と原発問題が争点となるだろう。東京都知事選では同党都連が「勝手連」的応援をした細川護煕候補の脱原発公約に連合の“離反”もあり、風は吹かなかった。被災地の福島は事情は違うが、「福島県版ローカルマニフェスト」を策定し選挙を戦う方向だ。また、「自民党政権になっても何も変わらない」(亀岡氏)として政権担当時に受けた批判の相対化もなされよう。
解説室長 窪田 伸雄