憲法改正「機運高まった今こそ」
超党派議員改憲大会 首相がビデオメッセージ
超党派の議員でつくる「新憲法制定議員同盟」は10日、「中曽根康弘会長を偲び、新しい憲法を制定する推進大会」を都内で開いた。菅義偉首相(自民党総裁)はビデオメッセージを寄せ、「(現行憲法の)時代にそぐわない部分、不足している部分を改正していくことは当然だ」と強調。「憲法改正の機運が確実に高まっている今だからこそ、皆様と共にその実現に向けて進んでいきたい」と訴えた。大会は無観客でライブ配信された。
大会に出席した安倍晋三前首相は、在任時に9条2項を残して自衛隊を明記する案について学生にアンケートを取った際、10分間の説明で賛成が54%から85%に増えた経験に触れ、「(改憲案を)しっかりと説明していくことが求められている」と強調した。
大会には改憲論議に前向きな与野党から代表が出席。自民党憲法改正推進本部の衛藤征士郎本部長は「国会議員の責務は速やかに憲法改正原案を整え、それを審査し発議すること」だとし、「次の衆院選、参院選でも、憲法改正を公約に掲げ国民の審判を仰がなければならない」と述べた。
公明党の北側一雄憲法調査会長は、国民投票法改正案の可決まで3年間かかったことに「非常に忸怩(じくじ)たる思い」だと表明。デジタル化の負の側面(フェイクニュースや誹謗(ひぼう)中傷)など「今日的な憲法課題」についても「国会で合意の形成が進むよう取り組む」と意欲を示した。
日本維新の会の足立康史幹事長代理は「憲法改正の機運は高まっているが、国会は苦戦している」と述べ、立憲民主党の誕生によって生まれた「新しい55年体制」が最大の障害だと指摘。国民民主党の山尾志桜里憲法調査会長は「憲法よりコロナ対策だというご意見も頂くが、(緊急事態対応や自衛権の位置付けなどの憲法論議は)まさに今やるべき本流の仕事だ」と強調した。
議員同盟は一昨年11月に101歳で死去した中曽根氏が会長を務めていた。大会では「わが国の歴史や文化を内包し、時代の変化に適合し、かつ国家の理想の姿を示す憲法の制定を今こそ強く求める」との内容を盛り込んだ決議文を採択した。