ウイグル問題 中国の人権弾圧許さぬ結束を


 中国政府の新疆ウイグル自治区での少数民族ウイグル族への人権侵害などに対して、米国や欧州連合(EU)はじめ各国で批判が強まっており、米政府は来年に予定される北京冬季五輪を同盟国とボイコットする可能性を示唆した。覇権主義や政治弾圧を許さぬ国際的結束を強めて中国の態度を変えるべきだ。

 100万人超を強制収容

 米国務省が発表した人権報告書では、新疆ウイグル自治区で「ジェノサイド(集団虐殺)や人道に対する罪があった」と指摘しており、EUもウイグル族への人権侵害を理由に天安門事件以来30年ぶりの対中制裁に踏み切った。見過ごせない状況にあるという認識が国際社会に広がっている。

 しかし中国は、これらの問題を指摘する諸国に対して内政干渉で問題は存在しないと強弁したり、正反対の情報を発信したりするなど居丈高な振る舞いを強めている。

 米アンカレジでのバイデン政権になって初の米中外交トップ会談では、米側がウイグル、香港、台湾、サイバー攻撃などに懸念を表明したところ、中国側は報道陣の冒頭取材の時間制限を破って激しく応酬し、約1時間も口論を公開する異例の展開となった。

 また対中制裁を発動したEUでは、中国中央テレビの外国語放送(CGTN)が域内の言語で放送されているが、悲惨な人権状況に全く触れず、新疆ウイグル自治区の観光が特集されるといった中国共産党のプロパガンダに批判や懸念が上がっている。EUを離脱した英国では、同党の宣伝色が強いCGTNの放送免許が取り消されている。

 中国では新疆ウイグルを舞台にしたウイグル族によるミュージカル映画を作成し、人権侵害がまるで存在しないかのような民族の歌と踊りの世界を演出している。このような宣伝工作が事態の深刻度を増していると言えよう。

 中国の人権侵害の中でも、ウイグル族100万人以上を強制収容し、脱イスラム教化プログラムで強制改宗することはまさに人道の罪だ。女性の不妊手術、漢族入植とウイグル族との結婚を進める同化政策などは、世界のウイグル人ネットワークを通じて告発されている。世界各地のメディアで、亡命したウイグル人が親族を殺害されたという証言が目立っている。

 これら人権侵害を理由に北京冬季五輪を同盟国とボイコットすることについて、米国務省のプライス報道官は「話し合いたいと思っている」と否定しなかった。「ジェノサイド」と非難を浴びる国で開かれる平和の祭典の五輪に参加することは矛盾している。過去にはソ連のアフガニスタン侵攻に抗議する国々がモスクワ五輪をボイコットした例がある。人権状況改善のための交渉材料として利用し、説得に当たることはあり得よう。

 自由民主の価値観外交を

 わが国では茂木敏充外相が中国の王毅外相に「深刻な懸念」を伝えている。

 ウイグル問題はじめ中国の人権侵害に抗議する国際的な連携と結束を深め、自由と民主主義の価値観を広げる外交を進めていくべきだ。