日本共産党の統一地方選 党予算を左右する選挙に


議員給与から多額寄付

 4年に1度の統一地方選挙が来春行われる。前半戦と後半戦に分けて、多くの都道府県知事選挙、市区町村首長選挙、市区町村議員選挙が行われる。今後の国政の動向を占う、大きな選挙であるといえる。

 日本共産党は、統一地方選挙を「いっせい地方選挙」と呼んでいるが、今年1月に開催した全国大会で地方議員数の第1党の奪回をめざすことを決議し、候補者の選定を急ぎ、早々と選挙戦に取り組んでいる。現在、日本共産党の地方議員数は、都道府県議も含めた数字で2700人台と、2900人台の自民党、公明党に次いで第3党である。

 そもそも地方議員数は、無所属保守系が約2万5000人と圧倒的に多い。日本共産党が地方議員の数を「第1党」と宣伝したのは言葉のレトリックだ。

 日本共産党は、この間の選挙での日本共産党の議席増を「躍進」と表現しているが、日本全体で投票率が下がる中で組織票を持つ日本共産党が相対的に議席を獲得しただけの話である。しかし、その事実を報道したメディアはほとんどなかった。その結果、国民が日本共産党を反自民の代表と錯覚し、その後の得票増へと連なったのである。

 また、日本共産党が地方議員選挙に力を入れるのには別の理由がある。一般に都市部での地方議員の報酬は年間1000万円を越える。しかし、日本共産党議員は党機関へ多額の寄付をするきまりで、議員を持てば自動的に多額の寄付金が手にはいるのである。しかし、昨年の読売新聞でも報道されたように、神奈川県相模原市議の太田浩氏が年間300万円以上もの寄付金を理由に離党を表明するような事件も起きている。

 一方で、日本共産党の崩壊の予兆が有権者の離反を招いている。党員や固い党支持者で毎朝配達している赤旗日刊紙の早朝配達体制が崩れ、数日遅れで郵送で配布される地域が増えている。私の調査では、現在、長野県上伊那郡中川村南向地域、鳥取県日南町、山形県朝日村地域、山形県温海町地域、広島市南区似島町、その他全国の僻地(へきち)まで含めるとぼう大な地域で赤旗日刊紙が郵送になっている。将来性のない日本共産党への投票はむだになると、投票を控える人が増加している。

元自民掲載に怒る古参

 日本共産党の志位委員長は、赤旗に元自民党の幹部である古賀誠氏や加藤紘一氏、野中広務氏を登場させたことなどアピールして、支持を広げようとしている。北海道警察の裏金を告発した元警察幹部の原田宏二氏を登場させたりもしている。しかし、彼らが登場したのは週に1回配達される赤旗日曜版である。そもそも赤旗日曜版は頼まれて義理で購読しても実際には読まない人が多い。内容も、芸能人などさまざまな分野で活躍する人の紹介や、料理などの記事が多く、政治的な記事は少ない。まして政治的な論文が掲載されることはない。今回の元自民党の幹部の赤旗への登場の影響力は少ない。

 これらの元自民党幹部は赤旗で日本共産党への支持をまったく訴えていない。集団的自衛権や秘密保護法問題で自分の反対意見を述べているだけである。わずかに日本共産党をほめてはいるが、単に元自民党幹部が赤旗で自分の意見を述べたというだけで、野合ですらない。革命のために自己を犠牲にして来た古参党員からは、対決してきた自民党の元幹部を赤旗に登場させるとは何事かと怒りの声が上がっている。反原発問題で小泉元首相との共闘の可能性に言及するなど、日本共産党も参加した連合政府の実現を急ぐ志位委員長と、反自民党で長年戦ってきた古参党員との間に溝が深まりつつある。