中学の学力最下位の原因は?


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 文部科学省はこのほど、全国の小学6年生と中学3年生を対象に4月に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。

 県内の小学校は、算数の平均正答率が2014年から6年連続で全国平均を上回った。国語は2年ぶりに全国平均を上回った。

 それもそのはずだ。全国学力テストが始まった2007年以降、県内のほとんどの小学校では学力テストの数週間前から徹底的に対策授業を行っている。学力テストの順位がその学校評価につながることから、校長自らが率先して対策している小学校は少なくない。

 07年当時、小中学校で沖縄県の学力が最下位だったことから、当時の県教育長が学力向上計画を打ち出した。「結果を求められるあまり、対策に力を入れざるを得ないが、その分、犠牲にしなければならないこともある」。そのため小学校教師は悲鳴を上げている。

 ところが、県教育長が課題としている中学生の学力強化は奏功していない。今回、全教科で全国最下位という厳しい現実を突き付けられた。

 数学は、全国平均よりマイナス6・8ポイントだった。同テストが始まった07年のマイナス14ポイントから縮小したが、伸び悩んでいる。国語はマイナス4・8ポイント。

 現場教師は、「中学校の勉強となると、短期的な対策だけではフォローしきれない」と嘆く。「学習習慣が身に付いていない生徒が多いのが課題だ」という。

 今回の調査では、普段の生活や学習への意欲についてのアンケートも実施した。県内の小中学生は「自分には良いところがあると思うか」という質問で、「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」と答えた割合が全国より低かった。学力と自己肯定感との相関関係もありそうだ。

(T)