辺野古への早期移設を巡り賛成の輪が広がる
宜野湾市民団体、全国市町村議会でも採択するよう陳情
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、県内で八重瀬町を皮切りに四つの市町議会で早期移設を求める意見書が可決された。また、宜野湾市の市民団体はこの主旨の意見書を全国の市町村議会でも採択するよう陳情。石川県金沢市や東京都豊島区ですでに可決されるなど、広がり始めている。一方、県は新たな訴訟を提起する方針を決めた。(沖縄支局・豊田 剛)
宜野湾市長、「容認」を明言/県は新たな「抗告訴訟」へ
沖縄県の八重瀬町議会(金城秀雄議長)は6月14日の6月定例会最終本会議で、「米軍普天間飛行場の辺野古移設を促進する意見書」を賛成多数で可決した。「宜野湾市民の安全な生活を守る会」(平安座(へんざ)唯雄会長)が意見書の採択を求める陳情を受けてのもの。
この意見書の宛先は首相、衆参両院議長らで、(1)普天間飛行場の危険性を除去し宜野湾市民の74年間もの苦労を一日も早く解消する(2)具体的方法として、辺野古への移転・統合を推進する(3)日米安全保障条約を推進すると同時にさらなる基地の整理縮小する――という3項目を求めている。
一方、全国青年司法書士協議会(半田久之会長)ら2団体がそれぞれ出していた「辺野古新基地建設の即時中止と、普天間基地の沖縄県外・国外移転について、国民的議論により、民主主義及び憲法に基づき公正に解決するべきとする意見書の採択を求める陳情」はいずれも不採択となった。
こうした動向は当事者の宜野湾市にとって援護射撃になっている。松川正則市長は6月19日、市議会定例会で、辺野古移設について「容認せざるを得ない」と答弁した。昨年10月に就任して以来、市議会で「容認」との表現を使うのは初めて。引き続き、普天間飛行場の一日も早い閉鎖・返還を求める方針を強調した。
さらに、宮古島市議会(佐久本洋介議長)は6月25日、石垣市議会(平良秀之議長)は7月1日、うるま市議会(幸地政和議長)は同5日の定例会本会議で、辺野古移設を促進する意見書を賛成多数で可決した。石垣市議会は、尖閣諸島を含めた先島諸島の安全保障の重要性も含めた。
さらに、「生活を守る会」は同趣旨の意見書を全国の市町村議会でも採択するよう陳情。すでに金沢市や豊島区などで可決され今後、全国的に増える見通しだ。
ただ、県の対立姿勢は変わらない。知事を支える革新派が多数を占める沖縄県議会は11日、県が国を相手取って訴訟を起こすために必要な議案を賛成多数で可決した。国土交通相が県の埋め立て承認撤回処分を取り消す裁決を下したことを不服とし、裁決の取り消しを求める「抗告訴訟」で、近く那覇地裁に提訴する。
全国に原点知らせる意義
全国の市町村議会に要望書を提出した平安座唯雄氏
(宜野湾市民の安全な生活を守る会会長)
辺野古問題について全国の人々は、沖縄発のニュースを通してしかしらない。原点は、日米両政府が24年前に合意した普天間飛行場の危険性除去だ。全国のすべての市町村に意見書案を送付することで、原点を再認識させることができたことに意味がある。
どこに移すかというのは過去の話。もはや、辺野古以外の選択肢はない。現状の普天間と移設先の辺野古と比較して、どちらがより安全なのか。本来は、県が辺野古移設を推進すべきだ。
基地反対派の主張には一貫性がない。移設反対のためにジュゴンやサンゴ礁など自然環境の保護を主張し、今では辺野古沖の大浦湾の軟弱地盤を問題視。移設まで時間とお金がかかるというように議論を変えている。
こうした反対派の声があたかも県民を代弁するかのように、地元紙が連日報道しているから、「地元が反対しているから辺野古移設はすべきでない」となる。福岡県の小竹町議会に参考人として呼ばれて説明したが、案の定、こうした考え方をしていた。
政治家で「辺野古に移設してもいい」「沖縄に基地があってもいい」と堂々と言える人がいないのであれば、民間レベルで働き掛けていくしかない。(談)













