「政府追従」イメージ脱却を 自民党県連大会で会長に中川県議選出
一枚岩の態勢づくり急務
自民党沖縄県連は23日、那覇市で県連大会を開き、副会長の中川京貴県議(56)を会長に充てる人事を承認した。4月21日に投開票される衆院沖縄3区補選、夏の参院選で議席奪還に向け、政府追従のイメージからの脱却を図るとともに、一枚岩の態勢づくりが急務だ。(沖縄支局・豊田 剛)
沖縄県知事選、「辺野古」隠しが裏目に
「こんなにも早く中川氏に順番が回るとは思ってもみなかった」。県連会長経験者がつぶやいた。
県民投票の対応をめぐる混乱の責任を取り、照屋守之県議は3カ月も経(た)たずして会長を辞職した。1月29日の県議会臨時議会で賛否の2択から、「どちらでもない」を加えた3択に改正する県民投票条例改正案に、県議の判断が三つに分かれた。自民県連が一枚岩でないことが浮き彫りになった形だ。
中川氏は沖縄本島中部の中頭郡選出で現在3期目。総務会長や幹事長などを務め、18年4月から県連副会長に就任した。西銘恒三郎衆院議員を推す声もあったが、西銘氏は固辞。党三役を歴任した中川氏は、ウイングの広い党をまとめるには最適任者と判断された。島袋大幹事長、具志堅透政調会長、末松文信総務会長は留任した。
県連大会の就任のあいさつで、中川氏は開口一番、昨年の知事選、南城、豊見城、那覇の各市長選における敗北を謝罪した。
大会では、県知事選の敗因として、翁長知事の急逝による「弔い合戦」に持ち込まれたことを指摘。辺野古移設問題に対する姿勢を明確にしない戦術が裏目に出たと総括した。それ以外の要因としては、①党本部主導の選挙戦が県民の違和感を招いた②国会議員の大量動員で選挙事務所が対応に振り回された③公明・維新との連携が確立されながらも、支持を固めきれなかった④経済政策に特化した政策は、景気の良い県内で響かなかった――ことを挙げた。「政府追従」のイメージを脱却し、「政府に対して物言う自民党県連」を目指す。
また、基地負担軽減の取り組みについては、「県政の国との対立は、逆に基地負担軽減や整理縮小を遅らせる結果となっているばかりではなく、その影響は予算獲得や振興策の推進に表れている」と批判。「原点である普天間飛行場の危険性の除去・早期返還の実現を地道に訴え続け、県民に浸透させたい」としている。
一方で、県民の信頼回復は急務だ。党員総数は6587人で、昨年1年間で463人減少したことについて、中川氏は「選挙で敗北した結果、党員離れを招いた」と分析した。特に、全県選挙での辺野古移設の争点隠しは、保守支持層の多くを落胆させる結果となった。そのため「琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会」の我那覇真子代表運営委員は16日、政治団体を立ち上げる考えを明らかにしている。
昨年秋の知事選の人選で、支持が佐喜真淳前宜野湾市長と日本青年会議所の安里繁信元会頭で割れた影響も残る。ある党員は「公明と維新の応援を期待する前に、内部が完全に一枚岩にならなければ話にならない」と強調した。
基地整理縮小で結果出す
中川京貴新会長 一問一答
中川京貴新会長は世界日報を含む複数のメディアの質問に答えた。以下は一問一答。
――県連として厳しい環境にあるが、会長就任を決断した理由は。
昨年の知事選、南城市長選、豊見城市長選、那覇市長選は厳しい結果になった。また、2月の県民投票での反対票が、昨年の知事選での知事の得票数を上回った。これを踏まえて、今後の選挙に向けどう態勢を整えていくか。今回は全会一致で私に任せられた。県連として厳しい環境にあるが、歯を食いしばって責任政党自民党県連としてしっかり頑張っていきたい。
那覇空港の第2滑走路、1千万人観光立県、1兆円観光産業を目指してこの16年取り組んできた成果が出ている。ただ、今後、沖縄県をどうするかというビジョンを無党派層を含め県民にしっかり示していく。
――基地問題にはどう取り組むか。
沖縄は全国の米軍基地の70%が集中しているが、北部訓練場の半分、普天間飛行場の東側の一部が返還されるなど、現実的に基地の整理縮小は進んでいる。ただ、県民が基地負担軽減を肌で感じていない。米軍機訓練の一部は県外、国外に移っているが、外来機飛来で地元地域からは不満や反発があり、選挙に影響している。基地問題は避けて通れないが、一つ一つ問題を解決できるのが責任政党自民党だ。
――常設の「選挙対策室」の設置を提言していたが狙いは。
昨年の選挙は全てが後手後手に回って、われわれの政策を県民にきちっと説明できなかった。これが一番の敗因だと思う。きちっと戦略を練って県民や無党派層の皆さんにわれわれの推薦・公認候補の良さをしっかりPRできる組織体制をつくりたい。来年6月の県議選では自公維で過半数を獲得できるよう組織づくりをしていく。