97歳の長寿祝う「カジマヤー」


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 10月から11月にかけて沖縄では「カジマヤー」と呼ばれる97歳の長寿祝いが行われる。旧暦9月7日(今年は陽暦10月15日)がその当日だが、各地の都合に合わせて日程が組まれる。

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嘉手納町の當山宏町長(右)からカジマヤーを祝福された上里ヤス子さん=23日、沖縄県嘉手納町役場前

 カジマヤーとは沖縄方言で風車または風車祭という意味がある。最近は、風車を持たせて集落をオープンカーなどでパレードする。

 10月23日、嘉手納町でカジマヤーのパレードが行われた。今年、数え年で97歳を迎えた同町在住の上里ヤス子さんは派手な琉装に身を包み、赤いオープンカーに乗って町内の商店街をパレードした。商店街からは店員や客らが道に出てきて、上里さんのカジマヤーを一緒に祝った。沿道の人々からは「おめでとう」「かわいい」「長生きしてね」などと声を掛けられた。

 嘉手納町役場の前では、役場職員がほぼ総出でお祝いした。當山宏町長が記念品を手渡すと、上里さんは何度も「サンキュー」と言い、満面の笑みで喜びを表現した。

 同町によると、今年は17人がカジマヤーを迎えるが、パレードをするのは上里さんだけだという。「昔は地域を挙げて盛大にカジマヤー祝いをしたが、最近は健康不安でやらない人が多い。家族や親戚などで済ませるケースが多い」そうだ。

 上里さんは、嘉手納町に移り住むまで80年以上もの間、国頭村で過ごした。そこでは畑仕事をしながら生活。長生きの秘訣と「芋など野菜をたくさん食べること」と話す。

 カジマヤーには「人は再生し子供に戻る」という意味もあるとされる。過去の記録をたどると、明治時代までのカジマヤーは模擬葬式の儀式で、死装束を着せ、集落を回ったとされる。死の準備ともいえるこの儀式は主に沖縄本島北部で行われている。

(T)