小学校道徳教科書採択で難癖
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
2018年度から小学校で使われる道徳の教科書について、那覇地区の教科書採択地区協議会が採択した教科書をめぐり、一部の市民団体や地元紙から批判が出ている。
那覇市、浦添市、久米島町、北大東村、南大東村の5市町村でつくる那覇地区が採択した教育出版(東京)の教科書は、国旗・国歌の記述が多く「愛国主義的」として市民団体らが抗議しているのだ。
新しい歴史教科書をつくる会など保守色の強い教科書に批判的な「子どもと教科書全国ネット21」(俵義文事務局長)は、「安倍首相の写真を掲載している」「しつけ・礼儀が多く取り入れられている」とし、「育鵬社版のダミー」と決め付けた。これを受け、沖縄県教職員組合の那覇支部が那覇市教委に採択撤回を求めた。
しかし、採択手続きには一切、瑕疵はない。7月中旬、那覇地区の教員やPTA関係者ら協議会のメンバーが教育出版社の教科書を採択する方針を固めた。5市町村の教育委員会に諮り、5市町村の教委が承認している。
道徳教科書をめぐっては、来年度から道徳が正式な教科に格上げされるのに伴い、各地区の協議会で初めての採択が行われている。他地区で教育出版の教科書を採択した所はないが、それだけで批判を集中させることに驚きを禁じ得ない。
自分たちと考えが違うだけで、撤回を求める。そして、地元2紙が援護射撃のような報道をする姿は、11年、育鵬社の中学公民教科書採択をめぐって騒動となった「八重山教科書問題」と変わらない。
同問題の結果、竹富町は14年5月、石垣市と与那国町と一緒に構成した八重山地区採択協議会から離脱し、単独で教科書採択を行っている。
(T)