沖縄市で45年祝賀大会、大多数が本土復帰「良かった」

沖縄県内の景気は好調、44カ月連続で拡大

昨年の入域観光客数は史上最高

 沖縄県は15日、本土に復帰して45年の節目を迎えた。復帰当時、「本土並み発展」を目指した沖縄県は、目覚ましい経済成長を遂げた。復帰を祝賀する式典が14日、沖縄市で開かれ、多くの県民が復帰の喜びを再確認した。(那覇支局・豊田 剛)

米軍基地との共存、若い世代は「当然」

沖縄市で45年祝賀大会、大多数が本土復帰「良かった」

沖縄県祖国復帰記念大会で青年を代表して登壇した沖縄青年会議所の町田裕介副理事長=14日、沖縄県沖縄市の沖縄市民会館

 「45年間で社会資本の整備、就業者数の増加、有効求人倍率の向上に加え、2016年度の入域観光客数は史上最高を記録するなど、着実に成果を挙げている。沖縄は東アジアの中心に位置する地理的特性や日本一高い出生率といった優位性があり、日本のフロントランナーとして日本経済再生の牽引(けんいん)役となる可能性を秘めている」

 菅義偉官房長官は12日の記者会見で、復帰から45年を迎える沖縄をこう評価した。

 一方、翁長雄志知事は復帰の日に当たりコメントで、沖縄経済における基地関連収入の割合が大幅に低下したことを踏まえ「広大な米軍基地の存在は沖縄の振興発展の最大の阻害要因だ」と訴えた。

 16年の完全失業率は4・4%で、引き続き全国最悪ながら、県内景気は44カ月連続で拡大。15年国勢調査では、5年間の人口増加率は2・9%で全国1位になった。

 経済の好調さも手伝って、「復帰して良かった」と考える沖縄県民は圧倒的多数を占める。中でも、若い世代の多くは、基地との共存を当たり前のことと考えており、世代間の価値観の相違も浮き彫りになっている。

沖縄市で45年祝賀大会、大多数が本土復帰「良かった」

祖国復帰記念大会の後、日の丸パレードが行われた=14日、沖縄市八重島

 「祖国復帰記念大会」は沖縄市民会館で開かれ、参加者は45年間を振り返りながら復帰の喜びを分かち合った。大会では保守系の首長、議員らが登壇し祝辞を述べた。

 沖縄市の桑江朝千夫市長は、「沖縄は復帰して以来、内地に追い付け追い越せの精神で県民も大変努力し沖縄は全国がうらやむほどの成長を遂げた」と述べ、「改めて祖国復帰に喜びを表そう」と呼び掛けた。

 花城大輔県議(自民)は、「復帰して人口は47万から140万に増加し、45万円だった平均所得は150万円を超えた。スポーツの優勝は当たり前、芸能界では多くが活躍している」と強調。一方で、「政治では少し遅れている」とし、「『琉球』という実体のないものに妄想を抱いている勢力があり、対立を生じさせている」と指摘、「そろそろ沖縄から日本で活躍できる政治家が生まれるべきだ」と語った。

 式典では、10年に興南高を甲子園春夏連覇に導いた我喜屋優監督が記念講演した。

 我喜屋監督は1968年、夏の甲子園に主将で出場した際、「パスポートを作って、船で那覇から鹿児島まで渡り、その後、大阪まで列車で旅した。ドルを円に換えて持っていった」と当時を懐かしんだ。その上で、「これからは本土と沖縄のいいところを互いに認め合うことでスポーツはもとより観光や経済はさらに良くなる」と強調した。

 復帰の日に合わせ、革新労組・団体をまとめる沖縄平和運動センターが主催する反基地デモ行進が3日間、行われている。12年の復帰40年の年は主催者発表で延べ5000人が参加したが、年々、減少傾向にあり、今年は約2000人にとどまった。

 県が政府と対立していることについて沖縄市議会の普久原朝健議長は「今、沖縄に求められているのは国との信頼関係を取り戻すこと」と強調。その上で「小学校の時代は国旗を掲げて誇らしかった。高校では国旗掲揚台を作ったことを覚えている」と復帰前の時代を懐かしんだ。

 那覇市在住の金城テルさん(89)は復帰の前年、那覇市で「沖縄返還協定批准貫徹県民大会」を決行した後、早期批准を政府に要請するために上京した。ところが、復帰の日には今でも反政府色の強い反基地運動が繰り広げられることに危機感を抱いている。「一日も早く沖縄を正常化する必要がある。中国に甘い翁長知事にこのまま任せておくわけにはいかない」と、熱い思いを語った。


戦後沖縄の主な出来事

 1945年 終戦。米軍が沖縄を占領
   52年 サンフランシスコ講和条約発効。沖縄は米軍統治下に
   72年 沖縄が日本に復帰
   75年 沖縄国際海洋博覧会が開催
   96年 日米が米軍普天間飛行場の返還に合意

 2000年 九州・沖縄サミット開催
       「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界遺産に登録
   03年 沖縄都市モノレールが開業
   04年 沖縄国際大(宜野湾市)に米軍ヘリ墜落
   10年 興南高が甲子園春夏連覇
   16年 米軍北部訓練場が部分返還