「国連先住民勧告」撤回求める 豊見城市で決起大会

翁長知事の国連人権委での発言 「県民は独立望む」との誤解招く

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)のキャンプ・シュワブ(名護市辺野古)沖への移設に強く反対する翁長雄志知事が、沖縄県民の「人権問題」として国連人権委員会などで国際社会に誤解を招く発信をしている。こうした翁長氏の言動が「沖縄は独立を望んでいる」と国際社会に間違ったシグナルを送るものとして県内の政治家や有志が危機感を募らせ、全県的、全国的な批判運動の展開を目指す動きが出てきた。(那覇支局・豊田 剛)

 「国連先住民族勧告の撤回を実現させる沖縄県民の会」設立決起大会が20日、豊見城市で開かれ、約200人が参加した。発起人には、自民党の国会議員、県議会議員、市町村議会議員、民間団体役員ら約40人が名を連ねた。

全市町村で撤回の意見書採択めざす

「国連先住民勧告」撤回求める 豊見城市で決起大会

大会決議を読み上げる大田正樹・豊見城市議=20日、沖縄県豊見城市のとみえーるホール

 昨年9月、スイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会で翁長氏は「沖縄県民の人権はないがしろにされている」と主張し、沖縄の「自己決定権」を求めた。これは、国際社会では民族自決権を求めていると解釈され、少数民族である沖縄県民が日本政府にいじめられていると誤解を与えるものだと、発起人の一人の沖縄対策本部の仲村覚代表は指摘する。

 2008年には、国連の人権規約委員会が日本政府に対し「琉球・沖縄の人々を先住民として明確に認め、彼らの文化遺産及び伝統的生活様式を保護し、促進し、彼らの土地の権利を認めるべきである」と勧告している。

 これは、翁長氏の国連での発言枠を手配した「市民外交センター」や「反差別国際運動日本委員会」といった国連NGOが画策した。日本政府は勧告を認めていないにもかかわらず、国連は2010年、14年にも勧告を出した。

 これについて昨年12月22日、豊見城市議会は「国連各委員会の『沖縄県民は日本の先住民族』という認識を改め、勧告の撤回を求める意見書」(宛先・外務省、内閣総理大臣、沖縄県知事)を賛成多数で採択した。「沖縄県民は日本人であり、決して先住民族ではない」と、国連の勧告撤回を要請した。

 意見書が採択された際、革新系野党議員は「翁長知事の足を引っ張る意見書だから賛成できない」と反対理由を述べた。

「国連先住民勧告」撤回求める 豊見城市で決起大会

大会には県内各地から約200人が集まった=20日、沖縄県豊見城市のとみえーるホール

 意見書を決議した意義を述べた新垣亜矢子同市議会議員は、「活動家の政治闘争によって日本人としての誇りを失うことが許されるべきではない。県民にマイナスに作用する問題を放置できない」と主張した。与党会派は、他の40市町村議会に意見書の意義を説明し、同様の意見書を採択するよう求めている。

 こうした動きに、沖縄独立を画策する勢力が過剰反応している。琉球民族独立総合研究学会はこのほど、同市議会に抗議文を提出した。「日本国憲法第19条で保障された琉球人の思想・良心の自由の侵害となる。自らの民族的な所属性を決定できるのは、その当人だけであり、人のアイデンティティ形成を尊重しなければならない」と主張をしている。

 大会では、沖縄選出の宮﨑政久衆院議員(自民)が来賓あいさつをした。宮﨑氏は「(県政に対して)異論を唱えて多くが集まった」ことを評価。「沖縄は差別されているという言説」に惑わされないよう注意を促した。

 県議からの議会報告もあった。花城大輔県議(自民)は、県議会の一般質問で「沖縄県民は日本人と思うか」「琉球独立をどう思うか」と翁長氏に聞いても自ら返答をせず、国連勧告についても答えを濁したと報告。「知事はいろんな団体に支えられ、着地点を失っている」と批判した。

 国連で翁長氏に反論するスピーチをした我那覇真子さんも登壇し、翁長氏批判を展開した。「ここ数年来の翁長知事の反政府行動は常軌を大きく逸脱し、売国奴のレベルにある」。こう力説した我那覇さんは、「琉球新報の潮平芳和編集局長が『沖縄は米国の領土でなければ、日本の領土でもありません』と驚くべき発言をしたが、知事は隣で平然と聞いていた」と振り返りながら、琉球独立運動を阻止するには県民の意思表示が必要だと訴えた。

 大会は、教育現場で沖縄方言「しまくとぅば」の普及の取り組みが画策されていることを危惧した上で、このままでは「沖縄の子供たちは日本人としての自己認識を持てなくなるどころか、日本に侵略された少数民族としてのアイデンティティが形成されてしまう。これは、沖縄県民の郷土愛を利用して沖縄を日本文化圏から切り離す非常に危険で巧みな工作」と指摘。「オールジャパンでこの問題を解決するため、全国の県議会、市町村議会に同様の意見書採択の協力を要請する」と決議した。