「残念。市民は怒り心頭」 普天間飛行場移設問題

宜野湾市長 佐喜真淳氏に聞く

 沖縄県宜野湾市の佐喜真淳市長は23日午後、本紙との単独インタビューで、米太平洋軍のハリス司令官が同日、普天間飛行場の名護市辺野古移設の完了時期が2025年になるとの見通しを示したことについて、「予定よりも2年延びることは残念でならない。市民の立場からすれば怒り心頭だと思う」と述べた。

佐喜真淳市長

 1月24日の市長選で大差で再選された佐喜真氏は、選挙を通して「飛行場の危険性、負担軽減(の必要性)を市民が感じ取った」と述べ、普天間飛行場の危険性除去という原点に立ち返ることの重要性を強調。移設問題で政府と対立している県に対しては、「どのように早期返還を実現するか考えて、動いてほしい」「負担軽減推進会議を速やかに開催してほしい」などと注文した。政府に対しては、「今後、返還予定をむしろ前倒しさせるため努力してほしい」と訴えた。

危険性除去の原点に

負担軽減、政府と直接交渉も

 佐喜真淳・宜野湾市長のインタビュー内容は以下の通り。(聞き手=那覇支局・豊田 剛)

米太平洋軍のハリス司令官は普天間飛行場の移設が2025年になるとの見通しを示した。

インタビューに応じる佐喜真淳・宜野湾市長=22日、沖縄県宜野湾市役所
 予定されていた時期よりも2年伸びることは残念でならない。怒りの感情が沸く。市民の立場からすれば怒り心頭だと思う。

 県はこのことを深刻にとらえて、どのように早期返還を実現するか考えて、動いてほしい。

 日米特別行動委員会(SACO)合意で14年度という返還目標が定められながらも、民主党政権の時に返還期日が延長された。安倍政権で「22年度またはその後」となり、「その後」を私が心配したが、その通りになって残念だ。政府には従前の予定(通り)、あるいは、むしろ前倒しさせるために努力してほしい。

佐喜真淳市長2

インタビューに応じる佐喜真淳・宜野湾市長=22日、沖縄県宜野湾市役所

市長選で大差をつけて再選したが、基地問題の民意をどのように受け止めたか。

 民意はその時々によって変わる場合がある。街の真ん中にある飛行場の危険性除去、負担軽減(の必要性)を市民が感じ取った選挙だった。今ある現実に対して一刻も猶予がないということだろう。

宜野湾市民112人が承認取り消しの無効確認のための訴訟をし、その理解を求める署名は2万筆を超えた。

 こうした事実があることは聞いている。普天間飛行場を一日も早く返還しなければという思いで行ったアクションだったと思う。少なくとも、知事として解決してもらいたいという2万人超の希望が示されたのだと思う。

翁長知事が就任して以来、政府との間で普天間飛行場の負担軽減推進会議が開催されていない。また、知事は就任以来、宜野湾市役所を訪れていない。

 前知事は負担軽減を最重要項目として認識し、県政が交代する際も引継ぎの第一項目として要請した。

 翁長知事が就任してから4度、要請をし、負担軽減推進会議の速やかな開催を求めた。知事には普天間飛行場の危険性除去という原点に立ち返ってもらいたいし、騒音被害の解決に取り組んでもらいたい。なぜ県ができないか、理解できないし、納得いく説明がない。

 本来ならば、会議メンバーの政府、県、市が(認識を)共有することが必要だが、県ができないのなら政府と直接交渉する。県議会が予算を承認すれば4月にも訪米を実現したい。

普天間飛行場が移設するまでの間、どのように米軍を有効活用するつもりか。

 最近、返還されたキャンプ・フォスターの西普天間住宅地区とその隣の海軍病院があるが、そこで医療福祉・生命をコンセプトとした街づくりができる。地域のコンセンサスがあれば、人材、技術、地域交流ができる。基地とは防災協定を結んでいる。

2期目の抱負は。

 騒音など基地から発生する問題解決を含め、1日も早い普天間飛行場の返還が着実にできるよう、できることはしっかりやっていきたい。住みやすいまちづくりのために、教育、福祉、経済、地域活性化を行いたい。西普天間地区を国際医療拠点構想を着実に前に進めていく。渋滞解決のための市道整備、普天間門前町構想、真栄原地区開発を進めていく。