最高裁 「孔子廟」土地提供は違憲


那覇市の無償措置で判断

 沖縄県那覇市が管理する公園の敷地を儒教の祖・孔子を祭る「孔子廟」として一般社団法人に無償提供したことが、憲法の政教分離原則に違反するかが争われた住民訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は24日、「市の土地使用料免除は憲法が禁じた宗教活動に該当する」として違憲と判断し、那覇市の主張を棄却した。政教分離原則をめぐる最高裁の違憲判決は3例目。

那覇市の松山公園にある孔子廟の大成殿=2020年10月

那覇市の松山公園にある孔子廟の大成殿=2020年10月

 訴訟対象となったのは2013年4月、松山公園に完成した「久米至聖廟」。社団法人久米崇聖(そうせい)会からの申請に基づき、市は11年に設置を許可し、「教養施設」として土地使用料も全額免除した。

 これに対し、那覇市在住の金城テルさん(92)が、申請更新後の14年4~7月分の使用料約180万円を市が請求しないことの違法確認を求めて提訴した。

 判決で大法廷は、廟は内部に孔子像などが配置され、多くの人が参拝するなど「寺社と類似性がある」と指摘。孔子の誕生日に行われる祭礼は、孔子の霊を迎え、あがめる宗教的意義を有する儀式だとし、「施設の宗教性が肯定できる」と判断。「沖縄の歴史、文化を伝える施設で宗教性はない」とする那覇市の主張を退けた。

 判決を受け金城テルさんは那覇市で、「住民監査請求してから7年の長い歳月だったが、判決を聞き感激した。那覇市には判決に基づいて速やかに適切な措置を取ってほしい」と述べた。