北海道教委やJAなど「読み聞かせ」を支援
道内の「読み聞かせ」ボランティア6団体に図書を贈呈
幼稚園や小学校などで行う「読み聞かせ」の有効性が指摘される中で、地域ボランティアによる実践活動が広がりを見せている。北海道では北海道教育委員会、JA北海道、北海道コンサドーレ札幌、北海道教育大学の4者の相互協力協定による地域教育連携事業が進められているが、同事業の一つとして進められている読書推進プロジェクトの一環としてこのたび、道内の六つの「読み聞かせ」ボランティア団体への図書贈呈式が行われた。(札幌支局・湯朝 肇)
4者相互協力事業でベルマーク回収
食育・サッカー教室のイベントも
「子供たちに絵本を読んであげると、目を輝かせて聞いています。これからも絵本の素晴らしさを伝えていきたい」――こう語るのは、北海道留萌管内の羽幌町で読み聞かせなどの活動を続けている「あざらしおはなし会」代表の梅原清美さん。
9月19日、札幌市内で開かれた北海道教育委員会などが主催する「読書推進プロジェクト『ベルマークで本を贈ろう』キャンペーン図書贈呈式」では今年度、道内で読み聞かせ活動を行っている六つの団体が選ばれ、絵本の贈呈式が行われた。梅原さんは寄贈された6団体を代表して感謝の言葉を表した。
ちなみに「あざらしおはなし会」の設立は今から30年前の平成元年。地元の羽幌町立小学校や保育園、公民館や図書館を毎年定期的に訪れて子供たちに読み聞かせを行っている。現在、会員は6人だが、全員主婦。読み聞かせの他に紙芝居や指遊びなどを提供して子供たちを喜ばせている。
「絵本といっても読み聞かせで使うのは1冊数万円以上にもなる非常に高価なもの。このたびは絵本を頂き感謝しています。早速子供たちに読んで聞かせたい」と梅原さんは語る。この日の贈呈式は、Jリーグ・北海道コンサドーレ札幌の練習場「宮の沢白い恋人サッカー場」クラブハウス屋上で催され、同チームの宮澤裕樹主将によって絵本が手渡された。
今回、寄贈された団体は「あざらしおはなし会」の他に、「お話会『カッコウ』」(十勝管内上士幌町)、「おはなし会ぽっかぽか」(留萌管内初山別村)、「札幌市立緑丘小学校おはなしよこちょう」(札幌市)、「メガネの会」(オホーツク管内滝上町)、「読み聞かせボランティアにじいろ」(札幌市)がある。今回、6団体が選ばれた理由として北海道教育庁生涯学習推進局生涯学習課の木幡淳史主査は、「道内には読み聞かせを行う団代がたくさんありますが、その中でも活動そのものがしっかりと行われていること。そして、今後の活動においても充実した内容が見受けられること、などを考慮して寄贈させていただきました」と説明する。
例えば、「札幌市立緑丘小学校おはなしよこちょう」(齋藤優紀子代表)は、「楽しいお話を届け、子どもと本をつないでいこう」をテーマに活動を続けているが、絵本や紙芝居だけでなく手作りの人形を使った人形劇を開催し、参加してくれる子供たちに楽しんでもらおうと、在校生や卒業生の母親で構成されたメンバーで活動していることなどが評価された。
4者相互協力事業は平成23年度からスタートしているが、読書推進プロジェクトは平成25年度から始まった。回収したベルマークで図書を寄贈することにより、子供たちの読書活動の充実を図りたいという狙いがある。一方、4者による連携協力協定事業としては読者推進プロジェクトのほかに、これまで小中学校の児童生徒の健康増進や学力・体力向上を図る「輝け!北海道の子どもたちプロジェクト」、北海道教育大学の学生による田植え体験や食と農を通して食育を考える「食育推進プロジェクト」なども進めてきた。
今年は、10月25日に地域コミュニティー「こども食堂もくきち」において、4者団体が集まり、北海道コンサドーレ札幌の選手によるサッカー教室,教育大生によるエプロンシアター、JA北海道によるごはんタイムなどのイベントを予定している。今や教育は学校などの教育機関だけで行うものではなく、地域、企業など北海道全域的な取り組みが求められる時代になっている。