わいせつ教員 免許の再取得を禁止せよ
児童生徒へのわいせつ行為で処分される教員が増えている。卑劣な犯罪は決して容認できない。処分を受けて免許を失効した教員は、免許を再取得できないようにすべきだ。
保護者団体が陳情書提出
わいせつ行為やセクハラを理由に2018年度に懲戒や訓告などの処分を受けた公立学校の教員は、前年度比72人増の282人で過去最多となった。懲戒処分のうち免職は163人で、前年度から43人増えた。
児童生徒にわいせつ行為をした教員は原則として懲戒免職される。問題は、過去の処分歴を隠して再任用され再び性犯罪を起こすケースがあることだ。
文部科学省はこうしたケースを防ぐため、わいせつ行為などで懲戒免職となった教員のデータを検索できる内部ツールについて、検索可能な期間を3年から40年に大幅延長することを決定した。このような取り組みは一歩前進ではある。しかし情報が見落とされ、再任用されてしまう可能性も否定できない。
保護者らでつくる「全国学校ハラスメント被害者連絡会」などは、わいせつ行為で免許を失効した教員に再交付しないよう求める陳情書を文科省に提出した。これを受け、萩生田光一文科相は「わいせつ教員は教壇に戻さない方向を目指して法改正していきたい」と述べた。
教員は知的な面だけでなく、人格面でも模範となるべき存在だ。それが自らの強い立場を利用して児童生徒へのわいせつ行為に手を染めるとは言語道断である。ましてや、同じ教員によって繰り返されることなど決してあってはならない。わいせつ行為で免許を失効した場合は再取得できないようにすべきだ。
一方、職業選択の自由が課題になるとの萩生田文科相の指摘は理解しかねる。憲法22条にあるように、自由が認められるのはあくまでも「公共の福祉に反しない限り」である。
わいせつ行為は児童生徒の心に深い傷を残す。それが本来、児童生徒を保護すべき教員によってなされたのであれば、どう考えても公共の福祉に反しているのは明らかである。
こうした教員については、わいせつ行為が発覚しても校長が自分の経歴に傷をつけたくないために教育委員会に報告しなかったり、児童生徒がうそをついていると疑われたりするケースもある。
教育現場ではわいせつ行為が軽く考えられているのではないか。何としても撲滅するという強い決意がなければ、これからも被害に苦しむ児童生徒が出てくることを防げない。
政府は6月、性犯罪や性暴力の根絶に向けて取り組むための方針を策定し、被害者が相談しやすい環境整備を進めるとしている。わいせつ行為をされた児童生徒は、被害を訴えにくく、安心して相談できる体制の構築が欠かせない。
重要性を増す性倫理
教員によるわいせつ行為の増加の背景には、社会全体の性倫理の乱れがあろう。
児童ポルノで逮捕された教員が別の地域で採用され、わいせつ行為を行ったケースもある。性倫理の重要性が増していると言える。