米国防次官、宇宙軍の創設を検討

ビル・ガーツ

 ジョン・ルード米政策担当国防次官は、トランプ大統領による陸海空軍などと並ぶ「宇宙軍」創設の指示について検討を行っていることを明らかにした。

 ルード氏は、コロラド州で開催された安全保障に関する会議で、中国、ロシアなどの敵対国は宇宙で軍事的影響力の拡大を目指しており、人工衛星が攻撃されれば、米国は大きな痛手を被ることになると指摘、「その脅威に対抗するために、物理的な力を強化するだけでなく、態勢を整え、訓練し、武装させる必要がある」と強調した。

 国防総省は、8月1日までに宇宙軍組織化のための計画の概略を議会に提出する。報告では、米軍が宇宙軍を素早く配備、展開させる方法や、人工衛星を守り、宇宙空間で戦うための指針と組織化について説明する。

 ルード氏は、宇宙軍設置には「まだ大変な作業が待っている」が、「戦闘能力のある部隊を戦場に素早く送り、効率よく任務を遂行できる能力を備えることを目指している」と述べた。

 トランプ氏は6月、独立した宇宙軍の創設を国防総省に命じた。これを受けて国防総省は、高い機動力と破壊力を持つ宇宙軍の新設を目指している。

 国防総省統合参謀事務局の情報部門J2は今年に入って内部報告で、中国とロシアが、ミサイル、レーザーなどを使った衛星破壊兵器の開発を進めており、早ければ2020年にも、低軌道上の米国の衛星にダメージを及ぼしたり、破壊したりできるようになると警告していた。

 低軌道衛星は、高度160キロから2000キロの軌道を周回し、米軍の作戦で使用される重要な情報を提供している。コーツ国家情報長官も3月、議会公聴会で同様の警告を発していた。