宇宙戦に備え米下院小委 新組織の創設を要請

ビル・ガーツ

 米下院軍事委員会戦略軍小委員会は先月下旬、国防総省に、宇宙戦のための新たな組織を発足させ、宇宙戦に備える作戦を作成することを求める文言を2019年度米国防権限法案に盛り込んだ。

 空軍には、宇宙戦要員の数を増やし、質を向上させること、「宇宙戦作戦の実施を任務とする」新たな航空軍の創設を空軍に求めている。国防総省には、戦略軍の下に、「合同宇宙戦作戦の実施」を任務とする宇宙軍と呼ばれる統合軍を新設するよう求めた。

 法案はさらに、国防総省に宇宙戦即応計画を提出するよう求めている。計画は、宇宙での紛争を戦うための任務、どのような装備、訓練、人員が必要かを明確にするためのものだ。

 一方、トランプ大統領は1日、「宇宙軍」と呼ばれる新たな軍の創設を検討していることを明らかにした。

 トランプ氏は「宇宙には、軍事でも、そのほかの分野でも大きな期待を持っている。宇宙軍について真剣に考えている」と宇宙戦に備えた新たな軍の創設に意欲を示した。

 宇宙戦はこの1年の間、国防総省と議会の新たな関心事となってきた。しかし、将来の宇宙兵器についての詳細は明らかにされていない。軍縮支持者らが、宇宙兵器の開発、配備に強く反対しているからだ。

 米国で宇宙戦に対する懸念が高まっているのは、中国とロシアの活動が一因だ。両国は、衛星破壊兵器、レーザー兵器、人工衛星に対する電波妨害装置、他の衛星やサイバー兵器を攻撃する誘導可能な小型衛星の開発を進めている。

 米軍は、衛星破壊兵器を配備していない。しかし、空軍は1980年代に衛星破壊ミサイルの試験発射を行ったことがある。海軍は、衛星を撃ち落とす能力のある迎撃ミサイルを保有している。