中国、パキスタンに大規模基地

 中国は、パキスタンのイラン国境に近いジワニに二つ目の海外軍事基地を建設する計画を進めている。戦略的に重要な航路に沿って戦力投射能力を強化する取り組みの一環。

ジブチに続き2カ所目
シーレーン確保が狙いか

 情報筋によると、基地は海空軍用の施設を備え、中国が商用港湾施設を建設しているグワダルに近い。計画は昨年12月18日に中国人民解放軍(PLA)の16人の将校がジワニを訪問し、パキスタン軍将校らと会った際に提示されたという。

ビル・ガーツ

 中国はさらに、中国軍の大型機が使用できるようジワニ空港に大規模改修を施すことをパキスタン政府に求めている。改修は7月に開始されるという。

 ジワニは、中国にとって海外で2番目の大規模基地となる。PLAは昨年8月に、アフリカ東部の小国ジブチで、初の海外基地の運用を開始したばかりだ。中国は、ペルシャ湾からインド洋、東南アジアにかけて基地を建設する計画を進めており、米国防総省は、これらの中国軍の海外進出計画を「真珠の首飾り」と呼んで警戒している。

 この計画は、資源を輸送するためのシーレーン(海上交通路)の確保を狙ったもの。中国共産党と軍指導部は、有事の際に他国の軍事介入などでシーレーンが封鎖され、原油輸送が止まることを恐れている。

 中国政府は、ジブチの基地について、海賊取り締まりのための輸送拠点にすぎず、戦力投射の意図はないと主張している。同様のプロパガンダが、ジワニ基地への国際的な反発を抑えるために取られるとみられる。

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 しかし、米国防当局者らは、ジブチの基地とジワニ基地をペルシャ湾と紅海を通じた原油輸送を支配するための取り組みの一環とみている。ジブチは紅海の入り口、バブルマンデブ海峡、ジワニはペルシャ湾に続くホルムズ海峡に近く、戦略的要衝に位置する。

 トランプ米大統領は1日のツイートで、「米国は15年間にわたってパキスタンに330億㌦以上の支援を行ってきたが、パキスタンはうそと欺瞞(ぎまん)しか返さなかった」「アフガニスタンで米軍が追跡しているテロリストをかくまっている」とパキスタンを強く非難したばかり。

 中国は、アジア、欧州、アフリカの60カ国にまたがる陸海のシルクロード経済圏構想「一帯一路」の整備を進めている。

 ロイター通信によると、中国はパキスタンに5億㌦を無償で提供し、国際空港の整備に2億3000万㌦を投入する。この計画の一環として、グワダルを物資を世界各地に輸送する大規模港にし、パイプライン、道路、鉄道で中国西部とつなぐ計画だ。

 中国はさらに、スリランカで開港したばかりのハンバントタ港の借用を開始。中国を脅威とみるインドは懸念を強めている。