北へミサイルなど供与計画、中国共産党内部文書から発覚
中国共産党は昨年9月、北朝鮮が核実験を凍結すれば、北朝鮮への支援、新型ミサイルを含む軍事援助を強化することを極秘に計画していたことが、党の内部資料から明らかになった。中国共産党は、厳格な情報管理を行っており、政策に関する内部文書がリークされるのは異例。習近平国家主席が「一強」支配体制を固める党の上層部に、反対勢力が存在する可能性もある。
「極秘」とされている4㌻の文書は、北朝鮮の核実験からわずか12日後の9月15日付。北の核問題への対応を記したもので、現存する核兵器の維持を認めている。これは、朝鮮半島の非核化を求めるとした中国政府の公式見解とは食い違う。
文書には、北朝鮮の体制維持への保証を改めて確認、石油・ガスの北への輸出停止を求める国連決議を「象徴的」に適用することで金正恩体制への制裁を骨抜きにすることが明記されている。
文書によると、中国指導部は、国際的な圧力で、北朝鮮に核弾頭を放棄させることはできないと判断。そのため、党中央委は宋濤・党中央対外連絡部長を通じて、北朝鮮に中国の北支援に変わりのないことを伝えるよう指示したもようだ。宋部長は昨年11月17日に北朝鮮を訪問し、高官らと会談した。
文書は、9月3日の核実験後に採択された国連安保理決議を受けて作成されたものとみられている。対外連絡部に、「日常生活やインフラ建設」に必要な物資の支援の強化、2018年に北への支援金を15%増額、19年から23年まで「年10%以上」増額することをも指示している。
武力行使には「断固」対応
また、制裁によってすべての銀行間取引禁止が要請されていることに対しては、取引禁止は「中央政府が管理する国有銀行と一部の地方銀行だけ」に適用されると、制裁を迂回(うかい)することを明記している。
軍事支援に関しては、「防衛的な軍の建設」と「ハイレベルの軍事科学・技術」の提供を約束。その中には「新型の中短距離弾道ミサイル、クラスター爆弾など」も含まれている。
また、「直ちに力ずくで核を完全に放棄させる」ことはせず、「自制を求める」とした上で、「北朝鮮政府を保護する決意」を明記。中露は「北朝鮮政府の崩壊を防止し、半島で起きる可能性のある米軍主導の西側の敵対的な軍との直接的な軍事対決を回避するため」に、「共通した強い意志」を持っていることを強調している。
その上で中露などは「朝鮮半島での混乱を、何も行動をとることなく、座視することは絶対にない」と、軍事力行使には断固とした措置を取ることを明示している。
この文書に関してコロンビア大学のアンドリュー・ナタン教授は、「文字、レイアウト、ヘッダー、印章、用語、言い回しなどすべて、党内の公式文書のものだ」と、文書が本物である可能性が高いとしている。
また、文書は「2カ月後に訪朝する対外連絡部長に宛てられたもののようだ」とした上で、北朝鮮に対する「蔑視」を示唆する文言もみられると、両国関係がぎくしゃくしている可能性を示唆した。






