「一帯一路」構想、経済的世界支配目指す中国
中国の習近平国家主席が提唱したアジア太平洋経済開発構想「一帯一路」に米国の国防総省、情報機関が強い関心を示している。
国防当局者が記者(ビル・ガーツ)に語ったところによると、計画を詳細に調査した結果、中国は経済的手段を通じて世界的な覇権を獲得することを目指し、それを実現するために外交、情報、軍事の力を動員していることが明らかになったという。
戦略的には、中国の最終目標は、民主主義と自由市場を基にした米国主導の現在の国際秩序を弱体化させ、中国が取って代わることにあるという。そのために、非民主的統治と社会主義的で国家重視の経済・金融政策を結び付けた新たな中国主導の経済・政治秩序を構築しようとしている。
習氏は2013年に、「シルクロード経済帯」(一帯)と「21世紀海上シルクロード」(一路)を組み合わせた一帯一路を経済開発構想として公式に発表した。
中国はこの計画のための資金を調達するために、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を創設した。米国は加盟していない。米国はAIIB創設に反対したが、欧州の主要国は興味を示している。
中国が1月に公表した研究「新世界金融秩序のための中国の戦略」によると、一帯一路は20世紀初頭の地理学者ハルフォード・ジョン・マッキンダーの理論を基にしているという。マッキンダーは著書で、ユーラシア大陸を「世界島」と名付け、その戦略的重要性を説いた。
地球上の陸の部分の欧州、アジア、アフリカを世界島とし、その中のロシアのボルガ川から中国の揚子江、北極海沿岸からヒマラヤにかけて広がる地域を戦略的「ハートランド」と呼んだ。
マッキンダーは1919年に「東欧を制するものはハートランドを支配し、ハートランドを制するものは世界を制す」と記している。
中国にとって、この新たな経済貿易構想、一帯一路は、共産党が主張する外国による支配を終わらせ、来世と現世をつなぐエジプト中王国のように、中国が世界的優位性を取り戻すことを意味する。