米国防権限法案、中国の通信企業を規制

ビル・ガーツ

 2018会計年度下院国防権限法案に、北朝鮮によるサイバー攻撃の支援に関与している中国の通信企業に対し、厳しい措置を取るよう求める条項が盛り込まれた。

 条項は、ピッテンガー下院議員(共和、ノースカロライナ州)が提出した修正案に盛り込まれており、ピッテンガー氏は北朝鮮と中国による秘密活動を強く批判してきたことで知られる。

 同氏は14日の下院本会議で「北朝鮮のサイバー攻撃を具体的に支援した通信企業が、米国防総省と契約を結ぶことを禁止する」と修正案について説明した。

 この修正案の提出は、ニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン」の5月の報道を受けた措置。同サイトは、中国政府系の大手通信企業ZTEが、国防総省の下請企業と下請け契約を結び、国防総省と国土安全保障省に通信機器を販売しようとしていたと報じた。

 ピッテンガー氏は、この法案は北朝鮮に関して中国に圧力を掛けるために必要だと指摘、「あまりに長い間、中国は北朝鮮が核開発、挑発行為、重大な人権侵害を行うのを許してきた。中国政府は北朝鮮の問題に関して信頼できるパートナーではない」と、中国を非難した。

 法案は、国家情報長官に北朝鮮のサイバー攻撃を支援したすべての通信企業のリストを作成するよう求めている。さらに、国防総省がこのリスト上の企業と取引することを禁じている。

 米国の安全保障当局者は議会証言で、数年に渡ってルーター、スイッチなどの中国の通信機器は安全保障上の脅威となりうると繰り返し警告してきた。中国の機器の中には、「バックドア」(裏口)が仕込まれているものもあり、中国のサイバースパイが悪用する可能性がある。

 国防総省高官のトーマス・エイキン氏は昨年、下院公聴会で、国防総省は中国の通信機器がサイバースパイやサイバー攻撃による破壊工作に利用される可能性があると警告されていたにもかかわらず、中国の通信機器企業を要注意企業としてリストアップしていないと証言していた。

 ピッテンガー氏は本会議で、中国の華為技術(ファーウェイ)が北朝鮮との取引で米国の輸出法に抵触している可能性があると報じられていることを指摘。さらに、ZTEが北朝鮮関連の輸出規制法に抵触して10億㌦という記録的な額の罰金を科せられていたことを明らかにした。

 ピッテンガー修正条項が盛り込まれた6960億㌦の下院国防権限法案は14日、賛成344票、反対18票で可決された。